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[おい! 韓国社会] 経済効果の過大包装、その底意


記事登録:2011/07/13 19:17(1941字)
ソン・デイン キム・グァンス経済研究所副所長

冬季オリンピックの間接経済効果
推計予算を見ればファンタジーに近い

冬季オリンピック誘致に関して愛国主義的報道が堰を切ったようにどっと押し寄せている。こういう大衆迎合的報道には問題が多いが、その中でも経済効果の過大包装は非常に憂慮される問題だ。 マスコミは現代経済研究院の報告書を引用して、直接効果21兆1000億ウォンに間接効果が43兆8000億ウォンで、冬季オリンピック誘致の経済効果が64兆ウォンを越えると主張した。

果たしてそうか? まず、直接経済効果というものは大部分が税金投入効果にすぎない。該当報告書でも、競技場・交通網・宿泊施設などに投入される財政投資額が誘発する経済効果が直接効果の大部分を占める。しかしこのような経済効果は同じ規模、同じ種類の財政事業を行なえば同じように発生する。事業性があってもなくても税金を多く使えば使うほど経済効果は大きくなる反面、文化・福祉・教育など他の事業予算は相対的に減ることになっている。したがって事業の経済的妥当性を立証しようとするなら、同じ投資予算が他の所に使われる時に比べてより大きい経済的効果を誘発するかどうかを問題にしなければならない。 だが、該当研究所も、それを報道する言論も、財政支出効果の妥当性や逸失利益に対してはほとんど言及がない。

直接経済効果はそれでもそれなりの根拠があるが、間接経済効果になるとこれはもうファンタジーに近い。 問題の報告書は平昌(ピョンチャン)が世界的な冬の観光地として浮上することにより10年間で32兆2000億ウォンの追加観光効果が発生すると主張する。 だが、現実はこのような主張を裏付けられない。

国内の観光収入は、韓国最大の観光需要国である日本の円および基軸通貨のドル為替レートに大部分連動する。例えばIMF危機以後、為替レートが急騰した1999年には68億ドルほどの観光収入が発生したが、釜山アジア競技大会と韓国・日本ワールドカップ大会が同時に行われた2002年の観光収入は59億ドル水準に止まった。 以後、為替レートが暴騰した2008年以前の時期にはずっと50億~60億ドル水準を抜け出せなかった。 2002年の二つの大規模国際スポーツ行事にともなう観光収入増大効果は、現実においては事実上現れなかったのだ。

平昌冬季オリンピックだからと言って、事情がどれほど違うだろうか。 カナダのバンクーバーはロッキー山脈をはさんだ最高の観光地に挙げられるにもかかわらず、2010年のオリンピック開催にともなう観光収入は5000億ウォン程度と推算された。 波及効果まで計算に入れても1兆ウォン余りであろう。それなのに平昌冬季オリンピックの効果が32兆ウォンにもなり得ようか。 11兆6000億ウォンと推定した国家ブランド向上効果も、具体的根拠がないのは同じだ。

経済効果過大包装術は今回だけではない。昨年の主要20ヶ国(G20)首脳会議の経済効果を最大24兆ウォンと推算した三星経済研究所も同じだ。 会員国が持ち回りで開催する国際会議の経済効果を云々することからして実際ナンセンスであった。 しかも該当報告書は首脳会議開催で2002年ワールドカップ水準を上回る企業広報効果と輸出増大効果が発生すると推算した。 これがいったい納得のいく主張と言えようか。

すでにバラ色の経済効果を宣伝していたフォーミュラワン(F1)グランプリ大会のために全羅南道(チョルラナムド)と霊岩郡(ヨンアムグン)は莫大な借金を抱えることになったし、13兆ウォンの生産誘発効果が出るだろうと言っていた2014年の仁川(インチョン)アジア競技大会もやはり大会を開催しもしないうちから仁川市に借金爆弾を抱えさせている。

既に誘致した行事や費用支出を最小化しながら内実を固める努力が必要だが、見通しは暗い。早くも国土海洋部は、仁川空港鉄道ですら赤字にあえいでいるというのに、人口20万の春川(チュンチョン)まで9兆ウォンをかけてKTX(高速鉄道)を敷くという計画を打ち出した。与野党は先を争ってスコップ事業を後押しする雰囲気だ。荒唐無稽な経済効果はこのように土建族政府と政治家、建設大企業、不動産投機屋らを食べさせるための包装術になっている。 だが、その後に残る借金の尻拭いは誰がすることになるのか。 ツイッター@kennedian3

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/487174.html 訳A.K