原文入力:2011-05-22午後09:24:30(1891字)
イ・トンゴル翰林大財務金融学科客員教授・前韓国金融研究院長
世の中には金を稼ぐ方法が3種類ある。第一は仕事をして稼ぐことで、第二は他人のものを盗むことで、第三は人が自分のもの盗めないように守ることだ。常により多くのものを望む我ら人間はこの三種類の方法の中で最もお金をたくさん稼げる方法を選択する。仕事をより多くすればさらに多く稼ぐことができる。しかし他人のものを盗んでより多く稼げるなら仕事をする時間を減らしてその時間に他人のものを盗もうとする。俗っぽく言えば、盗みの稼ぎが良ければ仕事より盗む方が良いということだ。そして人が自分のものを度々盗み出せば仕事を多くすることより人が自分のものを盗めないように守ることが、よりマシなことになり、従って仕事をする時間を減らして守るために使う。
読者の皆様はあきれられたかも知れないが、経済学ではこれを‘限界生産性均等法則’としてよく説明している。私たちの制限された時間とエネルギーを色々な生産活動にどのように配分するのが最善なのかを説明する。
この理論は私たちが考える以上に人間の経済的本性をよく説明する。賢明な釜山貯蓄銀行の大株主と経営陣はこの原理をよく体得していたに違いないが、それはただそれだけに限定された問題でない。程度の差こそあれ、これはどの社会にでも現れる現象であり、特にイ政府が始まった以後、私たちの社会により一層激しくなった現象だ。ただし、私たちがこうしたことをよく認識できないのは、もっともらしい経済理論を前面に出して美辞麗句で包装して現れる場合が多いためであるだけのことだ。
自分が正当な持分以上に持っていくならば、それが他人のものを盗むことでなければ何だろうか。 自分が負担しなければならない正当な役割を他人に押し付けるならばそれは他人のものを盗むことと何が違うだろうか。熱心に仕事をしても子供の大学授業料を用意するのが難しい庶民が、どうして自分の持分を盗まれなかったと言えるだろうか。金持ちがより多く持っていけばこそ成長できて、下にこぼれる汁もできるという1970年代思想で重武装した‘747政策’の下に行なわれた金持ち減税、親財閥、4大河川建設と不動産投機助長、庶民福祉縮小、大企業による中小企業略奪行為などを考えてみなさい。財閥や不動産富者らにはこのようにして稼ぐことが正当に仕事をして稼ぐよりはるかに良いから賢明なその方々が政府をそそのかしてそのようにされたのは当然だ。
大統領が親しく金融監督院まで訪問して「国民より私がさらに怒る」と言いながら「貯蓄銀行不公正問題を厳重に調査し措置せよ」と厳命を下されたという。筆者があえてそのお言葉の真正性を疑う訳には行かないが、どうしても虚しく聞こえる。大統領が貯蓄銀行事件を監督不正問題だけとして見たとすれば、まだ問題の本質をお分かりでないということだ。監督改革を行っても、いくら厳重な調査と処罰を注文しても問題は決して解決されない。その場限りだ。
盗みを防ぐ最も良い方法は、盗みの収益性を低くすることだ。法を厳正に執行し他人のお金を盗みにくくさせ、捕まれば罰金や処罰を重くし盗みの代価として支払う費用を高めれば良い。本当に公正な社会を作り他人の持分をうらやましがらないようにすれば良い。解決法は簡単だ。問題はこの社会が盗みの収益性を高めたということだ。星を三,四ヶ付けてこそ長官になる政府、2ヶ月で3億5000万ウォンを受け取ったという長官候補者の夫、1年で数億ウォンを稼ぐ大統領周辺の落下傘ども、‘経済のために’常に許される財閥総師ら、他人の持分を奪い取ることに熱心な財閥と金持ちたち…。このように不正と非理、便法と詐取が乱舞し容認される社会では盗みの収益性が高いのは当然だ。この社会が‘公正’でないためだ。
方法はただ一つだ。法治だ。国民の権利を踏みにじる私的な法治ではなく国民の人権と福利を守る公正と真の法治ということだ。それで奪い奪われまいとして浪費される時間とエネルギーを惜しみ全てを仕事することに使わなければならない。それでこそ私たち皆が良く暮らせる先進社会となる。大統領は国民が大統領より‘さらに怒っている’ということをご存知でなければならない。
イ・トンゴル翰林大財務金融学科客員教授・前韓国金融研究院長
原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/479117.html 訳J.S