Ｋカルチャーに始まり「Ｋヘリテージ」まで？「Ｋの乱発」について【寄稿】
最近、韓国の新聞で「K」が入る記事の見出しをよく見かける。「Kカルチャー」、「Kビューティー」、「K半導体」、「K職場」まで、ほとんどすべての名詞の前にKを付けるのが自然に見えるほどだ。「K-POP」ですでにKを付け始めたため、見慣れないことはないが、なぜこのように爆発的に広がったのか、こんにちのKに込められた意味は何なのかが気になる。文字の歴史と伝播過程についての本を書いているところなので、なおさらかもしれない。
文字の歴史において、Kはラテン文字の一つだが、本来は形が似ているギリシャ文字のカッパ（Κ）に由来する。世界的にラテン文字を使う言語は3千個余り、人口は約70%に達する。キリル文字とギリシャ文字を含めると、人類の約74%はKのある言語を使っている。
Kはアルファベットの一つで、それ自体には意味が込められていない。ところが、最近韓国では、「K」がまるで意味を持つ単語であるかのように思われている。ネイバーの検索結果としては韓国の新聞で「K-POP」が初めて登場したのは2000年で、2002年頃から少しずつ広がり始めた。初期には「韓国大衆音楽」の後に括弧を表示し「K-POP」と書いたが、次第に英語をそのまま使うようになった。2000年代に世界的な人気を集め、外国メディアでも使われ始め、ニューヨーク・タイムズも2004年から「K-POP」を使っている。この時、Kは「コリア」を意味する言葉だった。
10年代初め、K-POPの人気が爆発し、Kの意味が変わり始めた。最初はコリアを指す言葉だったが、いつからか「K-POP」は新しい音楽ジャンルを意味し始めた。ロック、ジャズ、クラシックなどが原産地を超えたように、いつからかK-POPは韓国を超えた特徴ある音楽の一つのジャンルとされ、英語圏以外の数多くの言語圏でも自然に「K-POP」を使っている。
ところが、最近あちこちに「K」をつけるのはなぜだろうか。K-POPが誰も想像できなかったほど成功したのだから、どこにでもKをつければ、K-POPのように人気を博するだろうという期待が働いたのではないだろうか。Kにはいつのまにか「コリア」という意味よりK-POPのように世界的に人気を集める可能性がある新しい文化という意味が加わった。「Kドラマ」や「Kビューティー」を思い浮かべてみれば、容易に理解できる。
しかし、このような希望を込めた「K」を何にでも付けると、かえって効果は半減する。韓国メディアでよく使われる「K」は、逆に単なるコリアという意味と見なされる。「Kヘリテージ」という言葉を見たことがある。「韓国伝統文化」をこのように書いたのだろうが、これは一体どういう意味なのか、と思う。「Kカルチャー」と「Kコンテンツ」にも、分かるようで分からない、なんとも言えない曖昧さがある。言語的にはごった煮のようなものだ。
「K」にはさらに別の意味も加わっている。1990年代から氾濫した「グローバル」と似た意味を持ち始めた。新自由主義が後退し貿易と移動の障壁ができたことで、「グローバル」はなんとなく時代遅れの印象を与える。しかし、韓国は依然として貿易が重要で国際的に活発な交流が必要なので、この時代にふさわしい表現が必要だ。やはりここでもKの出番だ。Kは主に外来語より韓国語の前につけられる。「K建築」とは、ひと昔前の言葉で説明すると、「グローバルな競争力のある建築」だ。
これが果たして良い現象なのだろうか。いつのまにかKは飽和状態だ。今よりさらに拡散することは難しいだろう。数多くの過去の流行語のように、このままでは衰退する可能性が高い。むしろ意味が正確ではなく、理解するのにも邪魔になる場合が多い。すでに一つの用語として定着したK-POPは有効だが、ほとんどのKの未来には首をかしげざる得ない。
もう少し批判的に見れば、ハングルの中に乱舞するKは一種の言語的汚染のようにも見える。ハングルは読み書きがしやすく、文字に口の形と舌の位置が現れる世界で唯一の文字だ。ハングルに対する大きな自負から、韓国では毎年ハングルの日を祝日として記念しているほどだ。このようなハングルの特性にも合わないKの乱発を少し自制してはと思う。心の中ではもうやめようと言いたいが、そこまでにしておく。
訳H.J
