クァク・チョングン前陸軍特殊戦司令官は6日、憲法裁判所で開かれた尹錫悦大統領弾劾裁判で、尹大統領が引き出すよう指示したのは「要員」ではなく「議員」だと改めて証言した。707特殊任務団のキム・ヒョンテ団長は非常戒厳当日、クァク前司令官から「(国会議員が)150人を超えてはならないというが、(国会本会議場に)入れないか」と言われたと述べた。尹大統領の不当な命令に従わなければならなかった軍人たちが、容疑を全面否定する尹大統領の面前で、真っ向から反論したのだ。
この日、クァク前司令官は「(戒厳)当時、私は戦闘統制室に座って画面を見て指揮しており、後で知ったことだが、マイクがオンになっていた」とし、「オフにせず、終わるまでオンにしていた」と話した。「(起訴状には)大統領と長官の指示内容を現場指揮官と議論した過程が書かれている」と述べた。 「ドアを斧で壊してでも中に入って引きずり出せ」など、検察の起訴状に記されている尹大統領とキム・ヨンヒョン前国防部長官の命令が「隷下部隊全体にリアルタイムでそのまま流れた」という話だ。クァク前司令官とキム団長は戒厳軍として現場に出動した部下たちに申し訳ないとし、自分たちがすべての法的責任を取ると明らかにしている。
特殊戦司令部は707特任団と空輸(空挺)特戦旅団などで構成された最精鋭部隊で、厳しい訓練を経て最高の戦闘能力と強靭な体力を誇る。ところが戒厳当日、北朝鮮関連の任務だと思って出動したのが国会であり、現場で市民と出くわしたのだから、どれほどショックが大きかっただろうか。大統領と長官の不当な指示に対抗できず、部下たちにとんでもない指示をしたという遅すぎる後悔が、彼らを良心宣言に至らせたのだ。これが指揮官の姿勢だ。
「何も起きていない」とし「湖上の月影を追いかけるようなもの」だと述べた尹大統領の卑怯な行動と対比を成す。尹大統領は、自分の不当な命令のためにすべてを失うことになったこの軍人たちに、申し訳ない気持ちが少しもないのか。「内乱の失敗」に対する責任を取るから部下たちは善処してほしいというのは、一言もなかった。ひたすら自分の過ちを部下たちになすりつける姿ばかりだった。稚拙で拙劣だ。このような者が大統領だったのか。
尹大統領は同日も詭弁と嘘で責任を逃れようと必死だった。ホン・ジャンウォン前国家情報院第1次長とクァク前司令官、キム団長の証言をまとめて、(最大野党)共に民主党の工作だと主張した。このような屁理屈と詭弁を数カ月間聞かされるのは国民にとっても大変苦しいことだ。一日も早く終わらせなければならない。