韓国の銀行圏のウォン建て融資の延滞率がこの4年9カ月で最高となった。家計への融資では信用貸し、企業への融資では中小企業に対する貸付の延滞率が急激に上がっている。金利が大幅に上昇したうえ、景気後退の影響を受けて返済能力の低い人々が利子を期限までに払えずにいるのだ。さらに借金を重ねさせて時間を稼ぐのではなく、債務調整の活性化を誘導すべきだ。家計所得が増え、それによって消費が増えて低迷する内需が好転するよう、政府の政策対応の努力も必要な時だ。
金融監督院が24日に発表した2月末の国内銀行の延滞率(1カ月以上の元利金延滞率)は、前月より0.06ポイント上昇の0.51%。2019年5月の0.51%以来の最高値だ。企業への融資は中小企業に対する貸付の延滞率が0.7%まで上昇。家計に対する融資は、住宅担保貸付の延滞率は0.27%で安定しているが、信用貸しを含めたその他の貸付の延滞率は1月の0.74%から2月には0.84%まで急上昇している。
銀行は四半期末に不良債権をまとめて売却するか、償却処理する。したがって、各期の最終月には延滞率が下落する傾向がある。だが、そのように延滞率を管理しているにもかかわらず延滞率が上昇し続けているというのは懸念される。韓国の市中金利は2008年の世界金融危機以降、下落傾向にあった。銀行の延滞率も、韓国銀行が政策金利を1.25%から1.5%(2017年11月30日)、1.75%(2018年11月30日)へと引き上げた後に1年ほど0.5%を上回ったことがあるだけで、以降は下落傾向にあった。しかしコロナ禍以降のインフレに対応するための金利引き上げに伴って、2022年末からは急速に上昇している。低金利の時期に民間の負債が急膨張したために、今回の上昇は簡単にはおさまりそうにない。
その中で、家計負債が減っているのは幸いだ。全金融圏の家計に対する融資は2月に1兆9000億ウォン、3月に4兆9000億ウォン減少した。これは、借金をさらに増やすという家計の対応方法が限界に達したと解釈することもできる。融資の健全性管理を緩めてはならない。返済危機に陥った借主に対しては、信用回復支援制度にもとづく債務調整が迅速に行われるように誘導すべきだ。コロナ禍前の2010~2019年の平均延滞率は0.78%だった。政府はこれをもって「銀行危機はないだろう」とのんびりしていてはならない。延滞率の急激な上昇は多くの家計、中小企業、小商工人が危機に直面しているというシグナルだからだ。