本文に移動

[寄稿]悪化の一途をたどる韓ロ関係を憂う

登録:2024-04-11 01:42 修正:2024-04-11 10:09
ウィ・ソンラク|元駐ロシア大使
北朝鮮の金正恩国務委員長とロシアのプーチン大統領が昨年9月13日、朝ロ首脳会談を前に握手している=資料写真/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 韓国とロシアの関係が悪化し続ける中、北朝鮮とロシアの関係は日増しに緊密になりつつある。韓ロ関係は国交正常化以降の最低点を更新中だ。韓ロの鋭い攻防は日常化している。

 筆者は冷戦の終結しつつあった1980年代末、若い外交官として韓ロ国交正常化業務の主務を担った。そのような縁で、墜落する今の両国関係を見つめる筆者の心情は複雑極まりない。当時、ロシアは改革開放で脱冷戦時代を切り開き、西側との関係改善を目指している国だった。韓国や北朝鮮との関係でも、韓国の方をより重視した。しかしその後のロシアは、米国をはじめとする西側がロシアを弱体化させようとしていると認識し、対立しはじめた。それにつれてロシアは韓国、北朝鮮との関係も調整していった。そうしたさなかにウクライナ戦争が勃発した。韓国は西側の制裁に加わった。一方、北朝鮮はハノイでの朝米首脳会談が決裂して以降、韓米との対決を深めてゆき、そのさなかでロシアを支持し連帯を標榜した。さらに北朝鮮とロシアは、米国の「覇権主義と敵視政策」の被害者だとの同類意識を持っている。

 このような情勢の中、韓国の新政権はキャンプデービッド首脳会談を契機として韓米日安保協力を強化する道へと踏み出した。域内の米国主導の安保連帯に極度の警戒を示してきたロシアは、北朝鮮と手を組んで本格的に対抗を開始した。昨年の朝ロ首脳会談を通じてだ。何よりも朝ロは軍事協力を強調した。ロシアと北朝鮮との間で武器と技術が取引されているとみられる。

 こうした取引は国連安保理決議に反するにもかかわらず、ロシアは気にもとめない。ロシアは米国が主導する域内の勢力連帯を座視することはないだろうし、その対応のあり方に制約はないということを示そうとしているようだ。実際のところ、かつてロシアは敏感な軍事技術を北朝鮮に移転することに慎重だった。しかし米ロ対立が深刻な今、ロシアは米国を刺激することに執着しているようにみえる。

 今のように朝ロ協力が続けば、それは韓国の安保に甚大な悪影響を及ぼす。第1に、ロシアの庇護(ひご)の下、北朝鮮は核ミサイルの能力を発展させる。安保理制裁委員会専門家パネルの機能停止から分かるように、ロシアは安保理制裁体制を傷つけ続けるため、北朝鮮の制裁回避の余地は拡大する。そうなれば、北朝鮮の核問題の解決はさらに遠のく。第2に、ロシアと北朝鮮の軍事協力は北朝鮮の通常戦力を向上させ、挑発の可能性を高める。朝ロ首脳会談で衛星に関して協力することが合意されてから、北朝鮮は失敗を繰り返していた偵察衛星の打ち上げに成功した。ロシアと北朝鮮が潜水艦、戦闘機分野で協力する可能性もある。第3に、朝ロ安保協力のレベルが格上げされる可能性がある。ロシアと北朝鮮はプーチン大統領の訪朝を機に、今より一段階上の安保協力関係の法的基礎を公表する可能性がある。例えば、ロシアと北朝鮮がキャンプデービッド合意より進んだ安保協力に合意すれば、北朝鮮は勢いづくだろう。第4に、朝ロ関係の強化は中ロ連帯と連動する可能性が高い。結果的に、朝鮮半島周辺において「韓米日」対「朝中ロ」の対立線がより一層はっきりとしてくるだろう。ややもすると韓国は冷戦時代のように西側陣営の最前線でロシア、中国との対決に耐えなければならなくなる可能性がある。そうなれば、韓国の主要な外交課題である朝鮮半島への平和定着と統一追求の道は閉ざされる。ロシアと中国が妨害してきたら、この作業はほぼ不可能だからだ。

 したがって、韓国は適切な対処策を講じなければならない。目標は、ロシアが安保理決議を無視して北朝鮮との軍事協力によって韓国の安保を阻害する可能性を抑制することで、韓ロ関係の破綻を防ぐとともに、関係修復の道を開くことだ。

 対処の方向性について韓国国内には、中国は朝ロ連帯に不満を抱くだろうとの前提のもと、中国に朝ロ協力の制御を期待する、という考え方がある。だがそれは容易ではない。韓国のみでできるわけでもない。中国が朝ロの密着を喜ぶことはないだろうが、かといって中国がロシアをけん制することはそれほど期待できないからだ。それを期待するには中国にとってロシアとの連帯はあまりに重要であり、中国も北朝鮮に関する安保理決議にはそれほど熱意がない。

 しかし、もし米国が分野によっては中国と協力するという戦略的意図をもって中国との関係を管理し、朝鮮半島の非核化問題を米中協力の事案として分離するとしたら、状況は変わるだろう。そうなれば、韓国はその状況を利用できるだろう。そのためには、今のような米中の全面的な競争対立状況が変わらなければならない。問題は、今の米中関係でそれが可能かどうかだ。

 次に、韓国が積極的にロシアと交渉するという方策が考えられる。国内には、韓国は韓米同盟の強化、韓日関係の改善、韓米日安保協力を成し遂げたのだから、今や高まった立場でロシアと対話して問題を解決していけばよいという、多少のんきな順序だての対処構想がある。しかし、鋭い米ロ対立のせいで韓米、韓米日関係の強化が直ちに韓ロ関係にとっての悪材料となる環境において、しかもロシアが対抗を決意している中で、単純な逐次的対処が成果を上げるのは困難だ。

 卑近な例が、ロシアのアンドレイ・ルデンコ外務次官の訪韓だ。ルデンコの訪韓は、韓ロが二国間の高官級対話を通じて問題を緩和するために、苦労して準備したものだった。しかし、ちょうど飛び出したロシア外務省の報道官による韓国非難発言と、それに続く非難合戦による雰囲気の悪化に巻き込まれ、ルデンコの訪韓は流れてしまった。このように、今は韓ロの二国間対話を阻害する悪材料があふれているとみるべきだ。

 このような事情は、より戦略的かつ組織的なアプローチをとる必要性を我々に提起する。単なる逐次的な対処ではなく、最初から韓国の対米、対ロ関係全般について、統合され調整された戦略を立て、包括的(holistic)にアプローチした方がよいと考えられる。その戦略の中には、対米協力をどれほど進めればよいのか、ロシアとの外交空間はどの程度あるのかが織り込まれた韓国型座標が存在しなければならない。そうすればロシアが真剣な対話に応じる可能性が高まるし、対話が成果をあげる可能性も高まるだろう。

 このような戦略にもとづいて、いくつかの詳細な戦術も考慮する必要がある。1つ目は柔軟戦術だ。韓国が対米協力のあり方を若干調整する姿勢をロシアに対して示し、そこで生じる身動きの余地をもってロシアとの基本的な交流を保ちつつ、それをテコとしてロシアの動きを抑制するというものだ。2つ目は強硬戦術だ。ロシアに高度に警戒される措置を取る可能性を残しつつ、それをカードとして利用して強引に対話に持ち込むというものだ。もしドナルド・トランプが当選すれば米国の対ロ政策は大きく変わるだろうから、韓国が多様な戦術を駆使する余地は広がるだろう。

 韓国にとって韓米日協力を進めつつ朝中ロとの関係を管理するというのは、必然的でありながらジレンマを抱えた難題だ。今やロシアが北朝鮮との連帯に乗り出してきたわけで、韓国としては対応の先送りはできない。だが、すでに関係は悪化しているため、これといった方法なしに単に韓ロ高官級対話を行うだけではロシアの行動は統制できないし、反転の転機をつかむことも難しいとみられる。何らかの新たなアプローチを考慮すべき時に来ている。

//ハンギョレ新聞社

ウィ・ソンラク|元駐ロシア大使 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1136075.html韓国語原文入力:2024-04-10 18:46
訳D.K

関連記事