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[社説]新韓日宣言、歴史は忘れて安保協力ばかりを強調するのか

登録:2024-03-13 23:51 修正:2024-03-14 09:18
ASEAN+3首脳会議に参加した尹錫悦大統領が2022年11月13日、カンボジアのプノンペンのあるホテルで行われた韓日首脳会談で、日本の岸田文雄首相と記念写真を撮っている=プノンペン/ユン・ウンシク先任記者//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が来年に迫った韓日国交正常化から60年に合わせ、1998年の韓日共同宣言(金大中・小渕宣言)に代わる新たな文書を作るため、本格的に動き出した。歴史は忘れて安保協力のみを強化する宣言を作るということなら、直ちにやめるべきだ。

 読売新聞や朝日新聞などは13日、韓国大統領室の高官が11日にソウル駐在特派員を集め、「韓日関係の発展に向け、来年には両国首脳から『未来志向』の共同ビジョンを発表したいという意欲」を示したと報じた。大統領室の高官もこの日、金大中・小渕宣言以降に生じた様々な「障害物、挑戦の要因、国際情勢の変化を反映すべき時期に来ている」とし、そのための「準備を今後少しずつ日本と協議していく予定」だと述べた。

 次第に混濁していく国際情勢の中で、基本的価値を共有する隣人同士が協力を強めることに反対する人はいないだろう。しかし、尹錫悦政権がこれまでに示してきた姿勢を考えると、多くの面で深い懸念を隠すことはできない。尹大統領は昨年3月、両国の最大の懸案だった強制動員被害者に対する賠償問題で屈辱的な譲歩案を打ち出し、8月にはキャンプデービッド首脳会談で韓米日3カ国同盟への第一歩を踏み出した。にもかかわらず、日本が満たすと言っていたコップの半分は今も空だ。結局、新たな共同宣言は植民地支配に対する日本の明確な謝罪と反省は抜け落ち、中国と北朝鮮を包囲・圧迫するために安保協力を強化するという内容が主に盛り込まれる可能性が高い。

 それを示すかのように、大統領室の高官はこの日、韓日協力は朝鮮半島だけでなく「地理的な範囲をはるかに拡大」すべきであり「過去を乗り越える未来指向的な約束と希望事項を盛り込む必要がある」と強調した。このようにして新たな宣言が作られるのであれば、韓日関係は安倍晋三元首相が2015年の談話で表明したように、歴史は無視し、広いインド太平洋地域において中国包囲に没頭する「新たな時代」へと突入することになる。絶対にあってはならないことだ。

 26年前、金大中元大統領と小渕恵三元首相が歴史的な共同宣言に合意しえたのは、日本政府が「痛切な反省と心からのおわび」の意を再確認し、戦後の平和憲法を通じて国際社会に貢献してきたことを韓国人が受け入れたからだ。このような内容を抜きにして新韓日共同宣言の作成をはじめれば、尹大統領は強い国民的抵抗にぶつかることになるだろう。尹大統領が改善しようとしていた韓日関係も、かえって悪化する恐れがある。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1132148.html韓国語原文入力:2024-03-13 18:23
訳D.K

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