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[社説]「集団餓死」直前のガザ地区、子どもたちを救え

登録:2024-03-12 01:36 修正:2024-03-12 07:58
先月29日(現地時間)、パレスチナのガザ地区南部ラファのアルアウダ病院。10歳のヤザン・カファルネ君がベッドに横になっている。ヤザン君は医薬品不足と深刻な栄養失調で4日に亡くなった/AFP・聯合ニュース

 外国メディアで伝えられた写真を見てしばらく言葉を失った。パレスチナのガザ地区最南端のラファの野戦ベッドに横たわっていた10歳の少年ヤザン・カファルネ君は、まともに食べることができず骸骨のようになった姿で4日、息を引き取った。ニューヨーク・タイムズは少年の死を伝える9日の記事で、「食料不足でヤザン君の免疫系は弱まっていた。彼の親は息子が飲み込めるような高栄養食を得られなかっただろう」と報じた。国連児童基金(ユニセフ)が指摘した通り、「この悲劇的で恐ろしい死は人為的であるため予測可能であり、完全に防止できるもの」だった。

 昨年10月7日のハマスによる残酷な攻撃でガザ戦争が始まってから、すでに5カ月が過ぎた。パレスチナ中央統計庁の9日の資料によると、開戦後、ガザ地区で死亡した人の数は実に3万960人にのぼる。これまではイスラエル国防軍による無差別攻撃で死亡する人が多かったが、先日から餓死者が出始めている。ガザ地区の保健当局の餓死者集計は先月27日に始まり、8日までに20人が出ている。絶対多数を占める17人が子どもだ。

 状況が特に深刻なのは、外部からの支援物資が届きにくい北部地域だ。同地域内の2歳未満の子どもの16%が急性栄養失調になっているという。食糧が底をついているうえ、支援物資も途絶えたため、大家族が家畜の飼料と草の根で延命しているという切迫した報道も相次いでいる。状況をさらに放置すれば、「集団餓死」という最悪の惨事が現実のものとなるかもしれない。

 このような状況を防ぐためには戦争をやめ、水、食糧、医薬品などの人道支援を増やさなければならない。残念ながら、伝えられるニュースは暗いものばかりだ。イスラムの断食月であるラマダンの期間(3月11日~4月8日)だけでも停戦しようという米国、カタール、エジプトの仲裁努力は事実上失敗したとみられる。イスラエル首相室は9日の声明で、「ハマスは合意に関心がないような立場を維持している」と非難した。これまでの外国メディアの報道によると、イスラエルは米国などが提示した「6週間休戦」案を受け入れようとしていたとみられるが、ハマスは今回の戦争の完全な終了を意味する「永久休戦」の立場にこだわったと推定される。

 ガザで起きている人道危機は非常に深刻であるため、誰が正しく誰が間違っているのかを判断する状況にはない。国際社会と紛争当事者たちは、子どもたちに絶対に必要な栄養と医薬品を届けるという「最小限の原則」に合意することはできないのだろうか。死のふちにある子どもたちは、ひとまず救わなければならないのではないか。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1131828.html韓国語原文入力:2024-03-11 18:20
訳D.K

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