パレスチナのガザ地区で、10年の苦労の末ようやく授かった双子と夫をイスラエル軍の空爆によって失った母親の悲劇が報じられている。
AP通信は4日(現地時間)、ガザ地区最南端の都市ラファに住むラニア・アブ・アンザさん(29)が、2日夜のイスラエル軍による空爆で家が崩れて、5カ月の双子の子どもと夫を失ったと報道した。
アブ・アンザさんは当時、午後10時頃に息子のナイムくんに授乳した後、片方の腕にはナイムくんを、もう片方の腕には娘のウィッサムちゃんを抱いて寝ていた。すぐそばでは同い年の夫が寝ていた。
双子は、アブ・アンザさん夫婦が結婚から10年の間に3回の体外受精の末に授かった子どもたちだった。双子は、昨年10月7日にイスラエルとパレスチナの武装勢力ハマスの戦争が勃発した後、1週間も経たずに生まれた。日雇い労働者だった夫は、本人の名前を取って娘の名前をつけるほど双子の子どもを誇りにしていた。
しかし、この家庭の幸福が潰えるのはあっという間だった。午後11時頃の空襲で爆発が発生し、家が崩れた。
アブ・アンザさんは、子どもたちの毛布を抱きしめたまま「子どもは全員死んだ。夫は私を残したまま、子どもたちを連れていなくなった」とすすり泣いた。そして「最も大切な人たちを失った。ここ(ガザ地区)で生きたくない。この国を離れたい。戦争に疲れた」と話した。
当時の空爆で、家にいたアブ・アンザさんの親戚11人も死亡した。また、他の親戚9人は、残骸に埋もれ行方不明だ。アブ・アンザさんの親戚のファルーク・アブ・アンザさんは「(アブ・アンザさんの家に親戚)35人が滞在しており、そのうちの一部は別の地域から(イスラエルの空爆を避けて)逃げてきた」とし、「私たちは全員民間人で、武装勢力はいなかった」と述べた。
イスラエル軍は今回の空襲について「国際法を遵守して民間人被害を減らすため、実現可能な予防措置を講じている」と、3日に明らかにしている。しかし、イスラエル軍はハマスとの戦争勃発後に民間人の住宅地区を攻撃し、攻撃は予告なしで多くは真夜中に行われてきたとAP通信は指摘した。
ガザ地区保健省は、イスラエルとハマスの戦争によって、先月29日時点でパレスチナ人3万人以上が死亡したと推算した。そのうち4分の3は女性と子どもだ。