1950~1953年の朝鮮戦争のように、現在のウクライナ戦争の性格も複合的だ。朝鮮戦争は本来、内戦ともいえる分断国家の武力対立だったが、国際戦争、すなわち中国・ソ連ブロックと米国中心の西側ブロック間の対決に飛び火した。一方、ウクライナ戦争は当初、過去の帝国を復元しようとするプーチンの帝国主義的侵略から始まった。しかし、プーチン大統領の速戦即決計画が失敗に終わり、米国とその同盟国も関与することになり、この戦争もベラルーシや北朝鮮、イランなどの支援を受けるロシアとNATO(北大西洋条約機構)間の国際戦、すなわち間接的には米ロ戦争の姿も同時に帯びるようになった。
朝鮮戦争と比較を続けるならば、今回の米ロ間接戦で米国は約70年前と比べると、はるかに圧倒的な力の優位を保有している。軍備支出だけを見ても、米国の軍事予算はロシアより10倍ほど多い。米国製兵器の威力、例えば米国製の大砲の射程距離がロシアのそれより長いという点は、ロシアの軍人たちも認める。にもかかわらず、昨年ウクライナの戦場で米国ははるかに弱いロシアを相手に、意味のある勝利は何一つ収めることができなかった。ロシアが占領したウクライナ領土の割合(約18%)は減るどころか、むしろやや増えた。
米国が間接参戦に乗り出した目標である「ロシア軍を弱体化させること」も、やはり思い通りにはならなかった。戦線が膠着した陣地戦になってしまったロシア・ウクライナ戦争の現場で、現在のウクライナ軍より5倍多い砲弾を毎日使用するロシアの軍隊が弱体化したとみなすことはできないだろう。2022年2月24日以降、超大国の米国から1000億ドル相当の、歴史的に破格的な規模の支援を受けたウクライナが、米国ほどの財力や軍事技術を保有できないロシアに勝てず、守勢に追い込まれる理由は果たして何だろうか?
戦争の勝敗は様々なレベルで決まる。戦場における戦術・戦略などは最も基礎的なレベルだ。ところが、戦場で勝つためには、補給に支えられなければならない。すなわち、軍事物資の増産など「生産戦争」で勝たなければならない。また、戦争に必要な物資を調達し続けるためには交易を持続しなければならないため、相手国を外交・交易の次元で孤立させることに成功してこそ、戦争勝利の可能性も大きくなる。そして自国はもちろん、第3国の国民、ひいては戦争相手国の国民にまで説得力のある戦争目標などに関する「ストーリー」を提示してこそ、世論戦に勝ち、相手国の民意を乱し、その政権の立場を弱めることができる。
この4つのレベルで、これまでウクライナ側で決定権を行使してきたのは米国だった。そして、この4つのレベルで米国がこれまで見せたのは、主に惨憺たる失敗だけだった。
戦場での戦略・戦術について言えば、ウクライナの戦勢がまだ多少有利だった2022年末、ウクライナ軍は南部地域奪還、そしてクリミア半島への進撃計画をペンタゴン(米国防総省)に提出したという点から言及しなければならない。まだ南部でロシアの防衛線が構築されていなかったその時点で、米国製の優秀な兵器で武装した当時は士気が高かったウクライナ軍は、もしかしたらプーチンに歴史教科書に後々まで残る完敗を与えることができたかもしれない。しかし、米中対立など様々な面で緊張が高まった時局にプーチン大統領をあまり窮地に追い込んではならないと判断したペンタゴンは、この計画を受け入れなかった。上位のパートナーである米国のこのような意中の前で、ウクライナは仕方なく北部地域の奪還に焦点を合わせ、昨年夏になって南部地域奪還のための「大反撃」を試みたが、すでに構築されたロシアの防衛線に阻まれ大きな損害だけを被った。プーチン大統領と妥協の余地を残そうとする米国の一貫性のない態度は、結局ウクライナ兵士の莫大な犠牲を無意味にしてしまった。
その犠牲をさらに大きくしたのは、大砲の威力に依存する陣地戦の状況で、最も重要な戦争物資となった砲弾などの増産に米国が失敗し続けた点だ。1年に約150万発の砲弾を生産し、さらにベラルーシや北朝鮮から砲弾を輸入できるロシアに同等に対抗するためには、ウクライナもこの程度の砲弾が必要だ。ところが今、米国が1年に生産できる砲弾数は33万6千発に過ぎず、ヨーロッパ全体の砲弾生産能力もやはりその程度以上にならない。ロシアは依然として国営企業であるソ連時代の砲弾製作所を保有しているが、ウクライナ戦争が1~2年後に終われば砲弾需要が急減すると見通している欧米圏の民営軍需会社は簡単に砲弾増産に投資できない。「利潤」を最優先に考慮しなければならない新自由主義的資本主義は、このように戦時状況でプーチン式国家資本主義に勝てずにいるのだ。
戦争で勝つためには、兵器製造に必要な部品や機械を中国や湾岸地域の国あるいはトルコなどを通じて輸入しているロシアの貿易網を遮断しなければならなかった。ところが、準同盟の中ロ関係はともかくとしても、中東でイスラエルとの同盟を最優先視する米国は、トルコや湾岸諸国に対ロ制裁に加わるべき理由を説得力をもって提示できなかった。ガザ地区でジェノサイドに準ずるイスラエルの蛮行が続いているにもかかわらず、全く変わらない米国の親イスラエル偏向外交は、プーチンと中国が中東を含む「グローバルサウス」の民意を簡単に獲得できる環境を作った。その上、独裁者プーチンが破壊したロシアの民主主義の回復ではなく、ロシアの「国力弱体化」を戦争の目標として公然と提示した米国によって、ロシアの一部の西方シンパである中産層までが戦時状況でプーチンを条件付きで支持するようになった。
プーチンの侵略に対抗するウクライナ民衆の想像を絶する犠牲にもかかわらず、米国に対するウクライナの軍事的従属、戦時状況での新自由主義的経済の限界、そして米国の近視眼的な国家主義的アプローチと世界体制周辺部での米国の影響力の衰落は、ウクライナで米国が失敗した原因となった。このすべての状況が、私たちが結局他山の石にしなければならない教訓だ。