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[社説]北朝鮮の「敵対的な二国間関係」宣言後、砲射撃を交わした危険な南北

登録:2024-01-06 00:05 修正:2024-01-06 07:25
5日午前、西海で北朝鮮が海岸砲射撃を行ったことを受け、同日午後、延坪島海兵部隊である延坪部隊が対応射撃としてK9自走砲を発射している=韓国国防部提供//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮軍が5日、西海(ソヘ)最北端の北方限界線(NLL)付近で海岸砲射撃を行った。韓国軍はこれを9・19南北軍事合意に違反した挑発とみなし、対応射撃を行った。南北の疎通チャンネルが途切れた状態で、北朝鮮が南北関係を「敵対的な二国間関係」だと宣言し、南北が新年から軍事訓練と射撃を交わしたことで、偶発的な衝突もあり得るという懸念が高まっている。

 北朝鮮軍は同日午前、白ニョン島(ペンニョンド)北方の長山(チャンサン)岬一帯と延坪島(ヨンピョンド)北の登山(トゥンサン)岬一帯で、200発を超える射撃を行った。北朝鮮軍が撃った砲弾が西海の北方限界線を越えたわけではないが、延坪島と白ニョン島付近の海は2018年の9・19南北軍事合意で砲射撃と海上機動訓練が禁止された海上緩衝区域だ。北朝鮮軍の砲射撃自体が9・19南北軍事合意違反であるわけだ。韓国軍は今回の射撃を挑発とみなし、同日午後、白ニョン島にある海兵6旅団と延坪島所在の延坪部隊がK9自走砲と戦車砲などを動員して海上射撃訓練を行った。延坪島と白ニョン島の住民たちは万一の事態に備え緊急避難した。

 新年早々から軍事的緊張が高まっているのは、南北関係の悪化と9・19南北軍事合意の無効化によるものだ。昨年11月、北朝鮮が軍事偵察衛星を打ち上げたこと受け、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は9・19南北軍事合意における軍事境界線(MDL)一帯の飛行禁止条項の効力停止を宣言しており、北朝鮮は直ちに合意の無効化を宣言した。南北の偶発的衝突を防ぐ安全弁が消えたのだ。北朝鮮はその後、破壊した非武装地帯の監視警戒所(GP)を復元し、京義線と東海線道路に地雷を埋設したという。

 南北は今や向かい合って走ってくる列車のように「強対強」で対敵している。北朝鮮は先月末、南北関係を「同族関係」ではなく「敵対的な二国間関係」だと規定した。尹錫悦大統領も1日の新年の辞で、「今年上半期までに増強された韓米拡大抑止体制を完成させ、北朝鮮の核・ミサイルによる脅威を根本的に封鎖する」と述べ、軍事的対応を強調した。新年早々から海軍は海上機動訓練を行い、韓米も国境地域で合同軍事訓練を行った。韓国政府は4日、開城(ケソン)工業地区支援財団を解散した。南北が意地のぶつかり合いでもするかのように、互いに対決カードで応戦している。

 世界各地で戦争の炎が消えず、大国間の対立とあいまって、朝鮮半島の情勢は危うさを増している。このように悪化した情勢の中で衝突が起きた場合、炎は抑えきれないほど広がる恐れがあることを、南北の指導者は肝に銘じなければならない。南北はまず、誤った判断と偶発的衝突を防ぐ意思疎通の窓口を開くべきだ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1123207.html韓国語原文入力:2024-01-05 21:25
訳H.J

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