本文に移動

EVが伸び悩む間にハイブリッド車が躍進=韓国

登録:2023-12-25 21:17 修正:2023-12-29 05:21
自動車ハイブリッド 
 
中大型・SUV中心に人気拡散 
韓国国内販売量、昨年より40%増加 
充電に不便なく、炭素排出が少ない
トヨタの準中型級ハイブリッド車の第5世代プリウス=トヨタ提供//ハンギョレ新聞社

 電気自動車(EV)の販売が低迷している間にハイブリッド車の人気が高まっている。先月、韓国国内で登録された車のうちハイブリッド車は3万3511台。販売台数1万6883台のEVはもちろん、2万6500台のディーゼル車をもはるかに上回った。韓国自動車モビリティ産業協会が発表した1~9月の累積販売台数を見ると、韓国国内でハイブリッド車は昨年同期に比べ39.7%増の31万976台が売れた。これは2021年に韓国で販売されたエコカーすべてを合わせた34万8850台に迫る数字で、今年の韓国国内ハイブリッド車は史上最高の販売高を記録する見通しだ。

 世界的な流れも同様だ。世界のハイブリッド車の販売増加率は、2021年の51.5%から、2022年にはEVの販売が増えたため12.7%へと低迷したが、今年は9月までで38.3%増など活況が続いている。

内燃機関とEVの長所を取り入れたハイブリッド

 こうした人気に支えられ自動車メーカー各社のハイブリッド車生産も活発になった。現代自動車の場合、2019年末を基準に3車種だったハイブリッド車が、現在は準中型級のアバンテ・コナからSUVのツーソン・サンタフェまで6車種に増えた。

 輸入車の中ではトヨタが最も積極的だ。12月13日、韓国トヨタ自動車は準中型級ハイブリッド車の第5世代プリウスの韓国での販売を開始した。トヨタは1997年にエンジンとモーターを一緒に使う世界初の量産ハイブリッド車を世界に披露した。トヨタの第2世代ハイブリッド車は、米カリフォルニアでハリウッドスターの環境保護ブームに支えられ人気を集めた。2010年代半ば以降に複数の自動車メーカーがハイブリッド車を作るようになるまで、トヨタは市場を支配してきた。プリウスから始まった技術は、プレミアムブランドのレクサスにつながり、トヨタをハイブリッド車王国にし、ハイブリッド車のみのレクサスESモデルは先月累積基準で7178台が売れ、韓国の輸入車全体で6位に上がるほどだった。

 ハイブリッド車の人気の動力は何だろうか。内燃機関車は燃料50リットルを容易に入れられ500キロメートルを走ることができるが温室効果ガスを吐き出し、EVは温室効果ガスを排出しないが充電に不便がある。この二つの長所だけを取り入れ、必要に応じてエンジンと電気モーターを交互に使うのがハイブリッド車だ。

 ハイブリッド車は、電気モーターが車を動かす動力に寄与する程度によってマイルドとストロングに分けられる。内燃機関車にバッテリーを追加してエンジン動力装置を補助するマイルドハイブリッド(MHEV)はシステムがシンプルだが、電気モーターだけでは車を動かすことができず、エコカーの中で燃費改善や排出ガス削減効果は最も少ない。ベンツやBMWなどのドイツブランドはマイルドハイブリッドが主力だ。私たちが一般的に知っているハイブリッドは概してストロングハイブリッド(HEV)で、大きな力が要らない時は電気モーターだけで走ることができ、大きな力が必要な時はエンジンを一緒に使用する。燃費が良く、排出ガスも少ない。その他にプラグインハイブリッド車(PHEV)もあるが、EVのように外部電源で充電でき、HEVより力の強い電気モーターと容量の大きいバッテリーを装着し、EVのように使用することができる。ただし、プラグインハイブリッド車はエンジン走行が基本で、EVモードは補助的だ。

 ハイブリッド車はもちろん、内燃機関車とEVの両方の短所も持っている。ハイブリッド車はバッテリーとエンジンを備えるために重量が増え、内燃機関車に比べて相対的に高価だ。また、エンジンが回る時は当然排出ガスも出る。それでもEVより安く、充電に対する不便がなく、ガソリン車より少なくとも30%以上良い燃費は一般的な自動車ユーザーには大きな長所になる。

基本モデルの価格が高いほど人気

現代自動車のグレンジャーハイブリッド=現代自動車提供//ハンギョレ新聞社

 韓国の人々が実際にハイブリッド車を選択するようになった理由には、すでにハイブリッド車を経験した人々の口コミも一役買った。韓国でのハイブリッド車の販売に拍車がかかった最初のモデルは、2017年3月に発売された現代自動車のグレンジャーハイブリッドだ。発売初年度に約1万8千台が売れたのを皮切りに、着実に販売台数が増えた。2020年には3万8千台余りが売れ、同じグレンジャーのガソリンエンジンモデルの販売台数(10万6千台余り)の40%に迫り、今年はこの販売台数の割合が逆転し、ハイブリッドモデルが60%、一般ガソリンが40%になった。

 実際、中型車級にもハイブリッドモデルはあったが、当時はガソリン車に比べて500万ウォン(約50万円)程度高い価格がネックだった。車両価格が2500万ウォンの基本型を基準にすると20%以上高かった。しかし、グレンジャーの基本型は当初4千万ウォンを超えたため、ハイブリッド車でも10~15%程度の価格差しかなく、購入の抵抗が少なかった。燃費が良く静かだという長所が知られ、販売数が増えた。同じような価格帯の韓国産SUVである起亜のソレントと現代自動車のサンタフェの販売はいずれも80%以上がハイブリッドだ。このような傾向は、価格と大きさが1ランク以下の車へ徐々に広がっている。

 では、これからどんな車を選べばいいのか。何よりも本人の環境と使用パターンが重要だ。走行距離が長く、毎日一定の時間に車を使用し、居住地に緩速充電器があるのならEVを選択するのが有利だ。特に、一度車を購入して長く使う場合はさらに良い。もしマンションに緩速充電器がたくさん設置され、走行距離が短いとしたら? 相対的に安価なプラグインハイブリッドを選ぶことをお勧めする。平日は家から会社までの往復はEVのように使い、週末はエンジンを一緒に使って長距離ドライブが可能だ。

 一方、充電場所があまりなく気楽に車に乗りたいなら、ハイブリッド車が適している。起亜ソレントのプレステージ基本型の価格は、2.5Lガソリンターボで3506万ウォン(約385万円)、2.2Lディーゼルは3679万ウォン(約404万円)、個別消費税の恩恵を受けたハイブリッドは3786万ウォン(約416万円)だ。ガソリンモデルとは280万ウォン(約31万円)、ディーゼルとは107万ウォン(約12万円)しか変わらない。韓国の政府公認複合燃費は5人乗り2WD18インチタイヤ基準でガソリンは10.8キロ、ディーゼルは14.3キロだが、ハイブリッドなら15.7キロでガソリンに比べ50%程度良い。ガソリンモデルに比べて3年ほど乗れば十分に車の価格差を相殺でき、ディーゼルエンジンの騒音と振動からも解放されるという長所がある。

 今後、ハイブリッド車の種類はさらに増える見通しだ。バッテリー技術の発展はもちろん、原材料・副材料の価格が簡単には下がらず、思ったよりバッテリーEVの普及が遅れる可能性が高くなったためだ。EVが気候危機への対処には最善の選択だが、実際の購入には高い価格が負担だ。それならプラグインハイブリッド車が次善、ハイブリッド車が次々善の選択肢になる。

イ・ドンヒ|自動車コラムニスト:「自動車生活」記者として社会生活を始め、複数の輸入車ブランドで商品企画、教育、営業を行った。 あらゆる種類の自動車に対する深い愛情で多様な文を書き、自動車関連教育も行っている。 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/specialsection/esc_section/1121558.html韓国語原文入力:2023-12-23 20:10
訳J.S

関連記事