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[社説]嫌悪を助長した「ハンドサイン」騒動、企業の社会的責任はどこに行ったのか

登録:2023-12-06 06:47 修正:2023-12-06 08:24
京畿道城南市のネクソン本社/聯合ニュース

 ゲーム企業ネクソンが最近、自社のゲームの広報動画に登場する「ハンドサイン」が男性嫌悪を象徴するという男性コミュニティのあきれた主張によって、動画を制作した協力会社を相手に過度な「パワハラ」を行った事実が明らかになった。ネクソンの圧力によって協力会社は謝罪し、絵を描いたとされた女性スタッフは人身攻撃に苦しめられたという。しかし、そのハンドサインの絵は男性スタッフが描いたものであり、ネクソンも何度も問題の動画を確認したことが明らかになった。グローバルなゲーム会社であるネクソンが、憎悪勢力のあきれた「陰謀説」に調子を合わせ、協力会社を罪人のように追及するとは情けない。

 事件の発端は、広報動画に登場するキャラクターが親指と人差し指で何かをつまもうとしているしぐさを、一部の男性コミュニティが問題とみなしたことから始まった。彼らは「フェミニストの女性作家が韓国の男性の性器が小さいという意味の男性嫌悪を表現したもの」だとしてネクソンを攻撃した。この女性スタッフが過去にSNSに投稿した内容を問題にして「サイバーリンチ」まで行った。するとネクソンは、事実関係の調査もせず、「協力会社に法的対応を行う」というメッセージを出し、関連動画を非公開処理した。自分たちが台本と動画を数回確認していたにもかかわらず、悪質なユーザーの「魔女狩り」を確認もせず、下請け業者にすべての責任を転嫁したのだ。この業者は、女性スタッフを保護するために辞表を受理したという嘘までつかなければならなかったという。

 ネクソンの態度は、顧客などの暴言から労働者を保護する義務を規定した産業安全保健法に明確に反する。企業が一部の悪質な消費者のとんでもない圧力に屈服して労働者の生計を脅かすことは、きわめて無責任な態度だ。一部の男性コミュニティによる「ハンドサイン」の是非は、2021年にコンビニのGS25のイベントポスターをめぐる論議がきっかけだった。まったく根拠のない主張であるにもかかわらず、企業が断固として対処できなかったため、嫌悪勢力の横暴がよりいっそう激しくなったのだ。ネクソンは一部の嫌悪勢力の極端な主張に同調し、協力会社と女性労働者の生存権を侵害したことを謝罪しなければならない。政府もゲーム業界で繰り返される女性嫌悪に対し、根本的な対策を設けなければならない。

 せめて幸いだったのは、今回の事態について記者会見を開いた後、威嚇や脅迫に苦しめられた韓国女性民友会などの一部の女性団体を後援する応援の声が続いているという点だ。ネクソンは女性嫌悪に陥っている一部の利用者だけを眺めるのではなく、企業イメージと未来を考え抜き、韓国社会の健康性にもっと注目してほしい。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1119181.html韓国語原文入力:2023-12-06 02:43
訳M.S

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