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[コラム]福島第一原発の汚染水に関する3つの非科学的妖説

登録:2023-07-11 23:28 修正:2023-07-12 07:06
//ハンギョレ新聞社

 日本による福島第一原発の汚染水放出の危険性を警戒、心配する声を怪談とみなす人々が最もよく使う手法は、科学の権威の借用だ。科学者たちが安全だと言っているのに、なぜ科学を信じずに怪談を量産するのかと言う。しかし、安全ではないと言う科学者もいるし、安全かどうかは分からないと言う科学者はより多い。自分の選択した科学だけが真理だとの強弁は、科学ではなく宗教の態度だ。

 2つ目の手法は希釈だ。多核種除去設備(ALPS)ではろ過できないトリチウム(三重水素)は自然にも存在するという主張が代表的な例だ。私たちが飲む水や食べ物にもトリチウムが含まれていると強調しつつ、まるで無害な物質であるかのように言う。しかし、人類が数万年以上にわたって摂取してきた水や食べ物に含まれる放射性物質を、原発の爆発よってできた人工放射能と比較するのはまやかしだ。自然の一部であるトリチウムは長きにわたり量が一定だったが、人工放射能は新たに追加されたものだ。人類が原子力を発明する前に比べると膨大な量になる。しかも、トリチウムが人間に及ぼす影響に関する研究は初歩段階に過ぎない。

 科学に関する3つ目の非科学的妖説は、食物連鎖と体内蓄積の無視だ。X線のような身近な放射線と比較しつつ、通り抜けてしまうもののように言う。内部被ばくと外部被ばくの効果は同じだとどこかの科学は主張するが、別の科学は食べ物として摂取された放射能の引き起こす内部被ばくの方がはるかに危険だと言う。重金属のように食物連鎖を通じて蓄積されるからだ。原子番号55番のセシウム(Cs)と19番のカリウム(K)は、原子の最も外側を回る電子である価電子がいずれも1個の第1族元素であるため、私たちの体はセシウムをカリウムと勘違いして簡単に受け入れる。原子番号38番のストロンチウム(Sr)と20番のカルシウム(Ca)は価電子が2個の第2族で、やはり私たちの体はストロンチウムをカルシウムと勘違いして骨に蓄積する。そのためセシウムとストロンチウムの体内蓄積を防ぐための方法として、カリウムとカルシウムの予防的摂取を勧めたりもする。

 放射性セシウムとストロンチウムは、白血病をはじめとする各種の悪性腫瘍を引き起こす。どちらも重いので、基準値以下にろ過して排出したとしても深層水や海底の土壌に蓄積される可能性があり、プランクトンから始まる食物連鎖を通じて人間に転移する。

 直ちに韓国の海に入ってくるかどうかの問題ではない。海はいくら広いといえども、人類の子孫たちが生きていくべき有限の空間ではないか。

イ・ジェソン論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1099618.html韓国語原文入力:2023-07-11 15:18
訳D.K

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