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[社説]「日本に汚染水放出保留要求」など野党提案、政府は前向きに検討を

登録:2023-06-29 01:22 修正:2023-06-29 07:59
国民の力のキム・ギヒョン代表が22日午前、ソウル汝矣島の国会で行われた最高委員会議で発言している/聯合ニュース

 日本による福島第一原発の汚染水放出が迫る中、汚染水放出の安全性をめぐる与野党の攻防が激化している。与党「国民の力」の指導部は「汚染水怪談」を止めると称して「刺身屋での飲食パフォーマンス」を続けており、野党議員たちはハンストで対抗している。

 国際原子力機関(IAEA)の事務局長が来月4日に東京を訪問し、福島第一原発の汚染水放出を事実上認めることを内容とする「最終報告書」を手渡すと予想される。日本の岸田文雄首相はこの報告書を受け取った後、汚染水の放出開始時期を最終決定するという。4日以降はいつ放出が強行されてもおかしくない状況だ。

 韓国政府と与党は日本による海洋放出の正当性を先頭に立って擁護し、反対世論はすべて怪談だとのレッテルを貼っている。28日に国民の力の学習会「国民共感」に招かれた「国民同行」全羅北道支部のハム・ウンギョン代表は「この戦いは科学と怪談の戦いでもあるが、実は反日民族主義との戦い」だというあきれた主張を行っている。

 国民の85%が汚染水の放出に反対しているのに、政府と与党が国民の不安を「怪談」や「反日民族主義」扱いするのは非常に傲慢で無責任だ。政府は放出強行に備えて放射性物質の影響をチェックし、韓国沿岸の海水と水産物を検査し、安全性の問題が発見されれば直ちに消費を中止する体制を整える努力をどれほどしているのか。日本による放出の正当性の宣伝に汲々としている政府を、市民はどれほど信頼できようか。

 このような中、野党「共に民主党」のパク・クァンオン院内代表が27日に提案した7つの対日要求事項は、対策の出発点とするに値する有意義な内容だと判断する。内容は、日本政府に汚染水放出の来年初めまでの最低6カ月間保留を要求すること、韓日の常設協議体を設置して包括的な環境影響評価を実施すること、韓日の専門家グループを設置して日本が当初考慮していた5つの処理案を共同で再検討すること、安全な処理の費用を韓国と周辺国が支援することなどだ。政府与党は野党の提案だからといって無条件に排斥したりせずに、前向きに検討することを提案する。もちろん現在の与野党の状況をみれば、政府与党が民主党の提案に耳を傾ける可能性は高くないということはよく分かっている。それでも、国民の不安と野党の不満をむしろ対日交渉のテコとして利用する知恵は期待できないだろうか。民主党も、「訪日闘争団」を組織するなどの効果の疑わしい、ややもすれば政治的攻勢だとの誤解を招きかねない不明確な主張を展開するより、合理的な提案の実現に集中した方が良いだろう。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1097912.html韓国語原文入力:2023-06-28 18:12
訳D.K

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