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[社説]「決断」で取り繕った屈辱対日外交、「談話継承」すら消え去る

登録:2023-04-13 04:49 修正:2023-04-21 09:49
尹錫悦大統領と日本の岸田文雄首相が3月16日、東京の首相官邸で韓日首脳会談に先立ち握手を交わしている=東京/聯合ニュース

 日本政府は公式の外交文書に韓国の強制徴用被害者賠償の「第三者弁済」案は記述する一方、日本の「歴代内閣の歴史認識の継承」は完全に除去した。韓国政府は、日本の「談話継承」への言及は「謝罪と反省」の意を表すと意味付けてきたが、日本政府はその形式的発言さえ消し去ってしまったのだ。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は日本に一方的に譲歩したことを「決断」という言葉で取り繕ってきたが、「屈辱外交」の後遺症は癒えていない。

 日本が11日に発表した「外交青書2023」には、韓日関係の争点だった強制動員被害者に対する賠償問題に関する部分が新たに追加された。「3月6日、韓国政府は旧朝鮮半島出身労働者(強制動員被害者を表す日本政府の表現)問題に関する自らの立場(『第三者弁済』案)を発表した」との内容だ。韓国の措置後に岸田文雄首相と林芳正外相が述べた「日本政府は1998年10月に発表された日韓共同宣言(金大中-小渕宣言)を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいることを確認する」との内容は抜けている。この時も「謝罪と反省」には言及しなかったため物議を醸したが、今度は日本側が唯一取った最小限の措置さえも公式の外交記録から削除されたのだ。一方、独島(トクト)は「歴史的事実に照らしても国際法上も明らかに日本固有の領土」だとする不当な領有権主張は今年も行われた。韓国が独島を「不法占拠」しているとする表現は2018年の「外交青書」で初めて登場し、以来6年間にわたって維持されている。

 今年の「外交青書」は、韓国を「国際社会における様々な課題への対応に協力していくべき重要な隣国である」と規定してはいる。「安全保障面を含め、日韓・日米韓の戦略的連携を強化していく」と強調していることと関係している。日本に都合の悪い内容は消し去り、「日本にとって必要な韓国」は強調するという態度だ。

 韓国外交部はこの日、報道官名義の論評を発表するとともに、駐韓日本大使館の総括公使を呼んで日本の独島領有権主張に「強く抗議」したが、後の祭りだ。尹錫悦政権が強制動員、福島第一原発の汚染水の海洋放出、日本軍「慰安婦」被害などの懸案で日本に無条件譲歩することで、拙速に「関係改善」しようとして起きた構造的変化が原因だからだ。福島第一原発の放射能「汚染水」を今夏に放出するという日本の計画に対しても、尹錫悦政権は口で「国民の安全と健康が最優先」と繰り返すだけで、危険を軽減する措置も取らずに傍観している。政府はせめて今からでも韓日関係のバランスの崩壊の原因をきちんと反省するとともに、崩壊した外交原則をまず正すべきである。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1087464.html韓国語原文入力:2023-04-11 18:04
訳D.K

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