本文に移動

[コラム]国営食堂・国営商店時代に回帰する中国?

登録:2022-11-16 20:45 修正:2022-11-17 06:31
イラスト:Jaewoogy.com//ハンギョレ新聞社

 人民公社の共同食堂に集まって一緒に食事し、一緒に労働し、国営商店で配給票により生活必需品を買い、職場(単位)に属する託児所や老人ホーム、医療施設を利用する日常。毛沢東時代を象徴するこうした風景が、21世紀の中国に戻ってくるのか。習近平の任期3期目時代が幕を開けるやいなや論争が熱い。

 中国共産党の第20回党大会が先月終わった後、国営商店である供銷社(供給販売合作社)が北京、上海、広州、深センなどの大都市で拡大していると官営メディアが大々的に報道している。全国各地で「国営食堂」が営業を始めたというニュースも相次いでいる。10月31日、中国の住宅建設部と民政部は、全国の各市・区政府が共同食堂、商店、乳児院、保育所、老人ホーム、医療施設を備えた「完全な居住団地」(完整社区)を試験建設するよう指示した。

 供銷社は、毛沢東時代の1950年代に政府が農村から農産物を直接購入して全国に配給し、農民には肥料や農業機械などを供給する組織として始まった。大躍進と文化大革命の時期には国営商店の役割まで担うことになった。中国人にとって供銷社は「コメ票や麺票を持参して物品に交換した時代」の象徴だ。改革開放以後も命脈は維持されたが、民間企業が運営する商店やスーパーマーケット、電子商取引が拡大し、供銷社は旧時代の象徴とみなされた。

 習近平国家主席は就任後、供銷社の役割を強調しはじめ、特に今年は党の支持と官営メディアの大々的な広報の中で供銷社が急速に拡大している。このような変化は「計画経済時代に戻るのか」という論争を惹き起こし、民営企業や小商人に打撃を与えるとの懸念も出ている。

 中国経済でこのように国有経済の役割が強化される背景について、4つの解釈がある。一つ目に、米中の覇権争いと中国の成長率鈍化などで不安を感じる中国共産党が、経済・社会全般に対する国家の統制を一層強化しようとしているということだ。二つ目に、国際経済との「デカップリング」の可能性に備え、食糧安保と生活必需品の自給自足を推進しようとしているということ。三つ目に、台湾の武力統一を念頭に置いた一種の「戦時体制」準備だという解釈。四つ目に、習近平主席が強調する「共同富裕」政策を掲げ国家資本主義を強化しようとする動きかもしれない。

 中国経済の専門家である仁川大学のイ・ヒョンテ教授は「中国の国内総生産(GDP)の60~70%を民間企業が占める状況で、中国当局が計画経済に戻したり国有企業の役割を過度に拡大して自ら成長動力をなくすことはないだろう」としながらも「安保を経済成長より優位に置こうとする習近平3期の中国が、どこまで国家の統制を強化するかを注視しなければならない」と話す。韓中経済関係だけでなく、北東アジアの平和を計る重要な指標である可能性があるからだ。

パク・ミンヒ論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1067504.html韓国語原文入力:2022-11-16 17:39
訳J.S

関連記事