対北朝鮮政策を原点から見直すべきだという声が高まっている。最も大きな理由は、北朝鮮の核武装が取り返しのつかない水準に達したことにある。朝鮮半島の非核化が事実上不可能になっただけに、非核化を中核の目標にしてきた対北朝鮮政策にも変化が必要であるという指摘もこのような脈絡から出た。一理ある主張だ。
同時に、核武装に比べてあまり目立たない、しかし非常に重要な北朝鮮の変化も直視する必要がある。次の3つの側面からだ。第一に、北朝鮮が韓米日との関係改善の未練を事実上捨てたように見えるという点。第二に、北朝鮮経済が外部で考えるほど厳しくない可能性が高いという点。第三に、経済制裁に対する北朝鮮の判断が変わったという点。
1990年代初め以来、北朝鮮問題の中心には北朝鮮の核問題と韓米日間の相互作用があった。北朝鮮の核開発は、韓米日の対北朝鮮強硬策の原因であると同時に、北朝鮮の核問題を解決するためには対話と交渉に乗り出さなければならないという点で外交的課題でもあった。北朝鮮も時には瀬戸際戦術で、時には対話と交渉で、韓米日、特に米国との関係を解決するという目標を持っていた。そのような北朝鮮が、2019年末から対話の扉を固く閉ざしている。2018年から2019年上半期まであった南北・朝米首脳会談は、虚しい結果を残しただけで今後も期待することはないという判断が決定的に働いたものとみられる。
北朝鮮の経済難がそれほど深刻ではない可能性にも注目する必要がある。「貧困にあえぐ北朝鮮」という認識は、対北朝鮮支援と経済協力、そして経済制裁の緩和を通じて北朝鮮の変化を図るべきという包容政策から、対北朝鮮制裁の維持と強化を通じて北朝鮮の変化を迫るか、崩壊を図るべきという強硬政策に至るまで、様々な形で展開されてきた。しかし、北朝鮮が外部で考えているほど貧しくないならばどうなるのか。北朝鮮は2021年7月に国連に「自発的国家レビュー」(VNR)を提出したが、「2015から2019年まで5年間の年平均経済成長率は5.1%」と報告した。同期間に対する韓国銀行の推定値より9.5%も高い。
経済制裁に対する北朝鮮の考え方が変わったことも非常に重要だ。「制裁の解決」(Without Sanctions)の追求から「制裁と共に」(With Sanctions)への転換がまさにそれだ。「過去の北朝鮮」は米国主導の制裁に悲鳴を上げ、制裁を解除してほしいと訴えたこともあった。しかし、朝米首脳会談の虚しい結果を経験し、制裁を「自力更生」と「自給自足」を実現できる「良い機会」にするという立場に転じた。
これら3つの変化は、北朝鮮の核武装に劣らず、対北朝鮮政策の見直しを迫る要因だ。韓米日との関係正常化は、非核化に対する重要な相応措置だった。しかし、北朝鮮がこのような外交的目標をほとんど放棄したということは、対北朝鮮政策の重要なテコが消える危機に瀕していることを意味する。対北朝鮮支援や協力で、あるいは対北朝鮮制裁の維持や強化で北朝鮮の変化を引き出そうとしたアプローチも、有効期間が過ぎた。
ならば、変化した北朝鮮を相手に対北朝鮮政策をどのように再構成すべきか。「知彼知己(敵の様子を知り、また自国の実情もよく知ること)」が重要だ。実は、対北朝鮮政策ほどこの「知彼知己」うまくいかない分野もない。これからはそれぞれが望む北朝鮮ではなく、「ありのままの北朝鮮」を見ようとする努力が必要だ。同時に、陣営論理から離れ、これまでの韓米日の対北朝鮮政策も冷静に振り返らなければならない。また、北朝鮮の核とミサイルだけに注目するのではなく、韓米日の兵器庫に積まれている先端兵器も同時に見る知恵も求められる。最も重要なのは、北朝鮮の変化が外部との相互作用の産物だという点を直視することだ。