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[社説]強制動員官民協議会が発足、「拙速和解」警戒すべき

登録:2022-07-05 06:13 修正:2022-07-05 07:32
日本製鉄、三菱重工業、不二越を相手とする強制動員訴訟の被害者支援団代理人のイム・ジェソン、チャン・ワニク両弁護士、民族問題研究所のキム・ヨンファン対外協力室長らが4日、外交部庁舎前での記者会見で被害者側の立場を説明している=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社

 日帝強占期(日本の植民地時代)の強制動員被害者への賠償問題の解決策を模索するための官民協議会が4日、初会合を開いて発足した。韓国最高裁の判決以降、出口がみえなかった問題を解決するため、韓国政府と被害者、専門家らが膝を突き合わせることは、意味が大きい。しかし、韓日関係の改善を急ぐあまり被害者らに譲歩を強要するのではないかという懸念も出ていることを、政府は留意しなければならない。

 この日、被害者代理人団は、日本の加害企業との直接交渉を可能にするため、政府が外交的な保護努力を行うよう公式に要請した。2018年、韓国最高裁は、日本企業が強制動員被害者に賠償しなければならないという判決を下したが、日本政府は、1965年の韓日請求権協定で賠償が終わったとして、日本企業の判決履行を妨げてきた。被害者代理人団は、最高裁の判決以降、強制動員加害企業側に交渉を要求し続けてきたが、「ほんのわずかな意思疎通でさえ、まったく行うことができなかった」と述べ、交渉が成功すれば日本の戦犯企業の韓国内の資産売却を通じた現金化の手続きを遅らせることが可能だという意向も示した。日本が「資産強制売却は韓日関係の破綻」だと脅していることに対して、被害者側が解決策を提案したという意味で、注目するに値する動きだ。

 最近、韓日政府が両国企業の自発的な出資で設立する300億ウォンの基金を活用する「代位弁済案」(韓国政府が賠償金を代理で支給し、その後、日本側に請求する方式)を調整中だという報道が出たことに対して、被害者代理人団は、政府がそのような案を既成事実化し被害者に強要する可能性も懸念した。政府は最近、韓米日安全保障協力強化と韓日関係の改善を強調している。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領はこの日、日本経済団体連合会(経団連)の代表団と面会し、「両国は未来志向的な協力関係を作ることに、ともに力と知恵を集めなければならない」と述べた。

 最近の不安定な国際秩序を考慮すれば、韓日関係の改善と協力は必要だ。文在寅(ムン・ジェイン)政権は、強制動員被害について「最高裁の判決に政府は介入できない」という立場を強調したが、謝罪と賠償に何の進展もなかったことについては、まともに動けなかった外交の責任も大きい。ただし、韓国と日本の歴史問題の解決策は、被害当事者と世論が同意できなければならない。その過程で加害企業の謝罪と賠償への参加は重要な部分とならざるをえない。一方的に「免罪符」を与える合意は、韓日政府間の「慰安婦合意」のように失敗に終わるしかないということを、政府は直視しなければならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1049646.html韓国語原文入力:2022-07-05 02:42
訳M.S

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