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[社説]エネルギー輸入激増が招いた韓国の過去最大貿易赤字に「警戒心」を

登録:2022-07-01 19:49 修正:2022-07-02 07:45
韓国の今年上半期の貿易赤字が100億ドルを上回り、上半期基準で歴代最大規模を記録した。1日午前、釜山港の神仙台埠頭でコンテナ荷役作業が進行している/聯合ニュース

 今年上半期の韓国の貿易収支が過去最大の赤字を記録した。輸出は過去最高実績を示したが、原油・天然ガスなどのエネルギー輸入額の急増で、輸出より輸入がはるかに多かったためだ。今年下半期にもロシアのウクライナ侵攻など国際情勢が変わらない限りこうした傾向が続くとみられ、警戒心を持たなければならない。

 産業通商資源部が1日に発表した資料によれば、輸出は昨年同期より15.6%増加した3503億ドル、輸入は26.2%増えた3606億ドルとなった。これにより貿易収支は103億ドルの赤字を記録した。上半期基準で過去最大規模だ。これまでの最大記録は外国為替危機当時の1997年の91億6千万ドルであった。月別では4月から6月までの3カ月連続赤字だったが、これはグローバル金融危機が起きた2008年(6~9月)以来14年ぶりだ。

 もっとも、貿易収支よりさらに包括的な対外取引指標である経常収支は依然黒字であり、恐怖心まで持つ理由はない。また、戦争と中国のコロナ封鎖政策などの難しい対外条件の中でも輸出が半期基準で過去最高実績を達成したという点は評価に値する。だが、過去最大の貿易赤字がきわめて良くない指標であることは間違いない。

 特に、エネルギーを外国に絶対的に依存する韓国の構造的問題が弱点となっている点に留意しなければならない。原油・ガス・石炭の3大エネルギー源の今年上半期の輸入額は、エネルギー価格急騰の余波で前年同期より410億ドル(87.5%)も急増した。今年に入って3大エネルギー源の輸入増加額は、毎月の貿易赤字規模を上回っている。合わせて国外の原材料と穀物の価格上昇の余波で原材料および穀物輸入額が増えた点も、貿易赤字の要因になった。加えて対ドル・ウォンレートも急落し、ウォン換算輸入額を増加させた。

 政府は3日に非常経済長官会議を開き、輸出活性化対策を議論し、今月中に「官民合同輸出状況点検会議」を開催する予定だと明らかにした。しかし、こうした対策は、コインの片側だけを眺めるものだ。今もうまくいっている輸出をさらにうまくいくようにすることも重要だが、エネルギー輸入を減らす対策がいっそう至急求められる。韓国は経済協力開発機構(OECD)国家の中でも1人あたりエネルギー消費量がきわめて多い国に属する。現在のエネルギー危機は、揮発油税の引き下げのようなとりあえずの対策では解決できない。国民が石油・ガス・電気などの過消費を抑制するよう誘導する政策を、政府が積極的に開発し、推進しなければならない。エネルギー大量消費型産業構造を再編し、エネルギー効率を上げる作業もこれ以上遅らせることはできない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1049341.html韓国語原文入力:2022-07-01 18:26
訳J.S

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