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[社説]「原子力発電は未来の産業」という尹錫悦政権の幻想

登録:2022-06-23 08:40 修正:2022-06-23 10:12
尹錫悦大統領が22日午前、慶南昌原市の斗山エナビリティを訪問し、新ハヌル原発3号機と4号機の原子炉と蒸気発生器用の鋳造素材の保管場で韓国型原発APR1400についての説明を聞いている/聯合ニュース

 韓国政府は、原子力発電の協力業者に今年925億ウォン(約97億円)、2025年までに1兆ウォン分(約1050億円)の事業を供給する内容の原発産業支援策を22日に提出した。大規模な事業を新たにつくるため、新ハヌル3号機と4号機の建設事業をすみやかに発注するということだ。検察総長時代に文在寅(ムン・ジェイン)政権の脱原発政策と月城(ウォルソン)原発の捜査に対する圧力を政治参加の名分にした尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、この日「脱原発の5年は愚かなことだった」という刺激的な表現を用いて政策転換に乗りだした。

 脱原発計画は、条件の変化に応じてスピードを遅らせたり実行を先送りできるものだ。しかし、尹大統領の認識と政府の動きは、原発が未来の産業だという幻想に根拠を置き、積極的な拡大を試みるものとみられ、強く懸念させされる。

 「漸進的な脱原発」を標榜したものの、文在寅政権が行ったことは、新ハヌル3号機と4号機の建設を中断させたこと以外はほとんどない。電力生産の割合がごくわずかな月城1号機の永久停止も、寿命延長は無効とする一審の裁判所の判決後に取られた措置だった。にもかかわらず、与党「国民の力」と尹大統領は、脱原発のために原子力業界が焦土化したという無理な主張を続けた。この日の政府の支援案は、新ハヌル3号機・4号機の建設再開の意向を前面に出し、その主張を合理化するためのものとみられる。

 政府は、原子力の研究・開発(R&D)に、今年は6700億ウォン(約700億円)、2023~2025年は3兆ウォン(約3100億円)以上を投入し、小型モジュール原発(SMR)の国内独自モデルの開発と商用化のために、2028年までに3992億ウォン(約420億円)を投資することを明らかにした。尹大統領はこの日、昌原(チャンウォン)の斗山エナビリティを訪問し原発の協力業者と行った懇談会で、「私たちがこの5年間、愚かなことをせず原発の事業環境をよりいっそう確固としたものに構築していたならば、今はおそらくライバルがいなかっただろう」と述べた。「未来の原発市場」を強調し、「原発最強国」をビジョンとして掲げているのだ。

 しかし、それは視野が狭いものであり、国民を欺くことに近い。エネルギー価格が急騰すると、一時的な代案として原発の効率的な活用を考慮する国が出てきていたりはするが、原発を未来の産業とみなす国は見受けられない。人類が今もなお解決できない放射性廃棄物の処理問題のためだ。欧州連合(EU)がグリーン産業の分類体系に原子力発電を加えたことも、永久的な放射性廃棄物の処理施設を前提にするものだ。インフレは小波だが、気候危機は人類の生存を脅かす巨大な波だ。原発ではなく再生可能エネルギーの分野で後れを取ることこそ、危機につながるという点を肝に銘じなければならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1048120.html韓国語原文入力:2022-06-23 02:40
訳M.S

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