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[社説]IPEFは「安米経世」という韓国政府、準備したうえでの主張なのか

登録:2022-05-25 05:28 修正:2022-05-25 07:30
米国のジョー・バイデン大統領、日本の岸田文雄本首相、インドのナレンドラ・モディ首相が23日、東京の泉ガーデンギャラリーに集まった中、尹錫悦大統領をはじめとする10カ国の首脳がオンラインでインド太平洋経済枠組み(IPEF)の発足式に参加している=東京/AFP聯合ニュース

 韓国が米国との経済安全保障同盟を正式に表明し、インド太平洋経済枠組み(IPEF)に参加したことで、通商政策の基調が大転換期を迎えている。大統領室では、これまでの「安米経中」(安保は米国、経済は中国中心)から「安米経世」(安保は米国、経済は世界とともに)への転換の本格化だと説明するが、これは現実を誤導する側面がある。最近の尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の行動は、「安米経米」(安保も米国、経済も米国中心)と言っても過言ではないほどであるからだ。

 韓国経済の対中国依存度が非常に高く、市場の多角化が必要だという点は言うまでもない。しかし、準備されていない急激な変化は、大きな代償を伴う。韓国全体の輸出入で中国が占める割合は約25%にのぼる。特に中間材を媒介に相互依存的な分業構造が稠密に形成されている。対中国輸入で中間財が占める割合は64%、輸出では80%にものぼる。また、韓国の輸入品目全体のうち特定国からの輸入比重が70%以上の「サプライチェーン脆弱品目」の数は、中国2434品目、米国601品目、日本565品目で、中国が圧倒的に多い。尿素水品薄問題からも分かるように、中国がなければ産業が麻痺するほどだ。先端産業も同様だ。韓国の半導体輸出の60%は中国向けだ。

 IPEFは、韓中日と台湾など北東アジアを中心に形成された先端産業分業構造を、人為的に再編しようとする米国の遠大な企画だ。ASEAN(東南アジア諸国連合)とインドなどに中国の役割を担わせることを目標としている。米国の意図が現実化した場合、韓国産業と貿易には大きな衝撃が避けられない。転換過程でチャンスをつかんだ企業は利益を得るかもしれないが、うまく適応できない企業は被害を受ける恐れがあるだけに、何よりも緻密な交渉戦略が必要だ。

 尹大統領は23日、CNNとのインタビューで、「我々が安保や技術問題において米国との同盟を強化するからといって、中国との経済協力をおろそかにするという意味ではない。中国側がこれを過度に敏感に捉えるのは合理的ではないと思う」と述べたが、安易な現実認識と言わざるを得ない。IPEFは事実上、グローバルサプライチェーンから中国を排除しようとする米国の思惑と深くかかわっている。韓国産業の特性と生態系まで視野に入れた計画が必要だ。貿易が国家経済に占める比重の高い韓国にとって、片一方を排除するのは、リスクが大きすぎる。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1044207.html韓国語原文入力: :2022-05-25 02:09
訳H.J

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