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[社説]韓国、2年ぶり全面解除「ソーシャル・ディスタンシング」が社会に残した課題

登録:2022-04-15 20:10 修正:2022-04-16 06:11
韓国政府が約2年ぶりに「ソーシャル・ディスタンシング」の全面解除を発表した15日、金浦空港国内線ターミナルが旅行客で混みあっている/聯合ニュース

 韓国政府が15日、私的な集まりの人数、大衆利用施設の営業時間、集会などの行事人数の制限を18日から全面解除することにした。今回の措置で「社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)」が約2年ぶりに事実上の終止符を打つことになる。ただし、マスクの着用と感染者の隔離義務などは状況を見ながら解除の時期が決定される。オミクロンの流行は終わっていない。毎日3桁に達する死亡者を減らす問題が急務だ。特に高齢層などハイリスク群の保護に万全を期さなければならない。一日平均15万人台を維持している感染者数も減らさなければならない。個人の防疫を疎かにしてはならない。

 ソーシャル・ディスタンシングが初めて導入されたのは2020年3月22日だった。新型コロナの流入初期に大邱(テグ)・慶尚北道地域で深刻な混乱と被害を体験した後、いわゆる「三密」(密集・密接・密閉)を避けるための格別の対策として出てきた。しかし「日常の中止」という表現からも分かるように、国民はソーシャル・ディスタンシングを守るために長く大きな苦痛を味わった。大半の零細商人・自営業者は、しばらく何らの経済的補償対策もない中で生死の崖っぷちに立たされた。経済協力開発機構(OECD)中で最低水準の財政を投じても持続可能だったK防疫は、苦痛と犠牲に耐えた国民のおかげだったと言っても過言ではないだろう。

 ソーシャル・ディスタンシングとともにK防疫を二本柱で支えたのは、防疫・医療最前線の保健医療関係者たちだった。いわゆる「検査・追跡・隔離」(3T)戦略は、感染者と死亡者の数を抑制するうえで卓越した効果を発揮した。だが、それを維持するには莫大な人材が必要なのに、政府の後押しは不十分だった。現場では「犠牲者」という言葉が出るほどに保健医療関係者が極限の激務に苦しみ、耐えられずに仕事を辞める人々が続出する悪循環に陥った。

 オミクロン変異株の登場で、K防疫が虚しく崩壊し死亡者が急増したのは、オミクロンの伝播力が強いためだけではない。私たちの社会が数十年間放置してきた公共医療のインフラ不足が主要な原因の一つだったことは否定できない。

 オミクロン状況の終息を予断できる段階ではないが、それでも長く暗かったトンネルの出口は見え始めた。しかし、気候危機と密接につながっているパンデミックは、いつでも再び戻ってくる。新たにスタートする尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権もこれを厳重に認識し、過去2年余りの時間が私たちに残した根本課題を解決するよう願う。任期の初めからきっちり対策を立てて実行しなければ、日常はいつでも再び崩れかねない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1039149.html韓国語原文入力:2022-04-15 18:31
訳J.S

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