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[時論]iPhone・iPad 騒乱を見て/キム・ジンヒョン

原文入力:2010-02-02午後08:13:19(1733字)

←キム・ジンヒョン カイスト電算学科教授

これはなんの騒ぎだろうか? 言論が一斉にアップルがタブレットPC iPadを発売したことをトップ記事で扱った。とんでもない。アップルは1ウォンもかけずに広告をしたわけだ。韓国企業は何をしているのかと叱り飛ばす媒体もある。‘スッポンを見て驚いた者は釜のふたを見ても驚く’式で、iPhoneの衝撃にiPadの便りだけ聞いても大きく扱ったものと見られる。だがiPhoneとiPadは製品の性格が違う。

‘iPhone発売’はアップルというコンピュータ会社が既存の事業領域を跳び越えて、通信会社を驚かせた事件だ。‘携帯電話は通信機器’という考えから抜け出すことができない通信会社に、コンピュータ技術の力を見せたのだ。iPhoneはコンピュータだ。実際に売り値の3分の1に相当するiPhoneハードウェア価格で通信部品の比重は全体ハードウェア価格の10分の1にしかならない。iPhoneを使ってみると二つの指で画面を拡大・縮小し、デジタル地図と関連した衛星位置認識情報を活用するサービスが立派だ。通信機器では考えるのが難しいサービスだ。

しかしiPadは違う。iPadはコンピュータ領域でモデルがもう一つ発売されたという程度の意味だ。革新が頻繁なコンピュータ業界ではいつもあることだ。タッチスクリーンを通じてウェブプラウジングをするという程度が新しいことで、そのほかは特別なこともなく成功の可否も疑問だ。

iPhoneはコンピュータだからソフトウェアを別に購入し、新しい機能を追加する。iPhoneが驚くべきなのはコンテンツ市場のAPPストアで開発者が売り上げの70%を持っていくようにして、開発者をかき集め多様なソフトウェアが作られる競争環境を作ったという点だ。通信事業者の閉鎖的既得権が崩れ、開発者中心のソフトウェア生態系が活性化している。

米国でiPhoneが発売され脚光を浴びている時、一方で残念だった。我が国企業がハードウェア部品と技術を全て保有していながらも、ソフトウェア技術が不足していてスマートフォン市場に進出できなかったためだ。その後、国内業者の製品が発売されたが米国で‘優れたハードウェアに、ひどいソフトウェア’という評価を受けた。今回のiPhoneの衝撃はコンピュータ ソフトウェア技術の重要性を悟らせた。すべての産業と製品でソフトウェア生産と管理能力が競争力の源泉になるという事実を全国民が知ることになった。今までハードウェアと通信中心の政策を展開してきた情報通信政策当局者と関連企業はその重要性をさらに痛感したと信じる。

だが国内条件は肯定的展望を許さない。ソフトウェア生態系があまりにも劣悪なためだ。政府と大企業の前近代的購買慣行は、ソフトウェアとコンテンツ開発者の生存を威嚇するほどだ。米国議会は昨年コンピュータ科学教育を強調するためにコンピュータ科学教育週間を宣言した。その頃、我が国の小・中・高校ではコンピュータ授業が廃止された。単純なコンピュータ活用法だけに焦点が合わされているからと、それすらも消えた。大学入試でコンピュータ工学科は忌避学科目録に載っているのが現実だ。

iPhoneの衝撃に対応する国内大企業の態度も心配だ。研究所のコンピュータ ソフトウェア部門を再び事業部署に前進配置したという。ソフトウェア研究所をなくし復元してまた戻したのだ。ソフトウェア政策が一進一退して、あっちにい押されこっちに押される研究員たちは自尊心が大きく傷ついた。社長がスーパー開発者を探していると訴えても、学生たちは無視する。格別の措置がなければ産業体で優秀なソフトウェア人材と技術を確保できる可能性はないように見える。デジタル時代にはすべての製品でソフトウェアとコンテンツの価値がますます重要になる。

キム・ジンヒョン カイスト電算学科教授

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/402443.html 訳J.S