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[社説]CPTPPは不可避の選択、農業などへの被害の最小化を

登録:2021-12-14 08:19 修正:2021-12-14 09:18
ホン・ナムギ副首相兼企画財政部長官が13日、政府ソウル庁舎で開かれた第226回対外経済長官会議で「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定」(CPTPP)への参加推進の意向を表明している/聯合ニュース

 韓国政府は13日、「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定」(CPTPP)への参加推進の意向を公式化した。この貿易協定は、日本をはじめとするアジア太平洋地域の11カ国が参加する多国間の自由貿易協定(FTA)であり、世界貿易の15%を占める。対外貿易への依存度が高い韓国経済の特性上、周辺国の大多数が参加する貿易協定に参加しない場合、急変する通商秩序から脱落することになり得るため、韓国の参加は避けられないものと思われる。しかし、農水産分野や部品・素材産業などへの被害が予想されるだけに、利害関係者に対する意見の取りまとめと十分な被害補償対策が用意されなければならない。

 CPTPPは、当初は米国のオバマ政権が中国を牽制する次元で推進したが、トランプ政権が離脱し、2018年12月に日本の主導により発効した。マレーシア・ベトナム・ブルネイ・シンガポールなど東南アジア4カ国、メキシコ・チリ・ペルーなど中南米3カ国、そしてニュージーランド・カナダ・オーストラリアなどが参加している。韓国は日本とメキシコを除く9カ国とすでに自由貿易協定(FTA)を結んでいる。メキシコとの貿易規模は大きくないため、韓国がCPTPPに参加するとなると、事実上、韓日FTAの締結の効果が生じることになると評されている。韓国も初期に参加を検討していたが、朴槿恵(パク・クネ)政権の時に論議の参加のタイミングを逃している。今からこの協定に参加するには、加盟国全体の満場一致が必要なうえ、関係がぎくしゃくしている日本の影響力が大きいため、韓国としてはかなりの“入場料”を支払わなければならないこともありうる。

 しかし、最近の国際通商秩序は、米中覇権競争とコロナ禍による既存のグローバル・バリューチェーンの弱体化や、保護貿易主義の台頭などにより、不確実性の度合いも高まっている。対外貿易への依存度が高く、中国など特定の国家に対する依存度も高い韓国にとっては、極めて不利な条件だ。このような時であるだけに、貿易相手国を多角化する必要がある。CPTPPはアジア太平洋地域を中心とするバリューチェーンを構築するという点で、一つの代案になりうる。中国と台湾も9月に相次いで参加を申請した。

 貿易開放は常に、一方には利益をもたらすが、他方には被害を招く。「勝者」と「敗者」が明確で、国論の分裂を生じさせるのが常だ。さらに、CPTPPは関税を撤廃する貿易品目が96%に達するほど、開放度が極めて高い貿易協定だ。加盟国のなかには農水産強国も多く、農水産分野への大きな被害が予想される。日本と競合関係にある部品・素材産業や自動車など一部の産業も厳しい状況にぶつかる可能性もある。政府が被害対策を用意するだろうが、これまでの自由貿易協定の場合、限界は明らかだった。共に民主党のソ・サムソク議員が政府から受けとった資料によると、韓米FTAなど5つの自由貿易協定の場合、政府の補完対策にもかかわらず、農業への被害は5年間で1兆8000億ウォン(約1700億円)に達した。参加交渉で韓国の利益を最大限保護しつつ、不可避な被害に対しては十分かつ実効性のある補償がなされなければならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1023155.html韓国語原文入力:2021-12-13 18:32
訳M.S

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