米国のドラマによく出てくるセリフに、「ブラ・ブラ・ブラ」(blah blah blah)という言葉がある。訳すと「ああだこうだ」という程度の意味だ。誰かがいい加減な話を続けている時、それをばかにする意味で主に使われる。
この言葉は、英国グラスゴーで開かれた「国連気候変動枠組条約第26回締約国会議」(COP26)を控え、世界的な流行語になった。スウェーデンの青少年環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんが、会議開会の1カ月ほど前の9月28日、イタリアのミラノで開かれた「青少年気候首脳会議」(Youth4Climate Summit)での演説で、この言葉を使ってからだ。トゥーンベリさんは当時の演説で、米国のジョー・バイデン大統領やフランスのエマニュエル・マクロン大統領などの主要国の首脳らが、気候危機の解決のために行動せず、「中身のない言葉」だけを言っていると批判した。世界の政治指導者らがこの30年のあいだ「ブラ・ブラ・ブラ」ばかり叫んでいたということだ。その間に「私たちの希望は、彼らのむなしい約束にはまり、溺死する状況」だと、きついジョークも投げかけた。
2週間にわたり開かれたグラスゴーでの会議の期間中も、この言葉は参加者の間で広まっていた。5日、気候危機問題運動の諸団体が世界の指導者たちに「気候行動」を求めグラスゴーで行った「気候ストライキ」の集会には、「これ以上『ああだこうだ』と言わないで」(No more blah blah blah)と書かれたプラカードが登場した。会議議長国の英国のボリス・ジョンソン首相も、会議の開幕式での演説で「行動のない約束は『ブラ・ブラ・ブラ』であるのみ」だと述べ、トゥーンベリさんの言葉を引用した。
トゥーンベリさんの「ブラ・ブラ・ブラ」は、軽く出た言葉ではない。既成世代とは違い気候危機を「足元の火」だと考える青年・青少年の環境活動家たちは、「重要なのは言葉ではなく行動」だと叫んできた。これらの人々が導く「グローバル気候ストライキ」で常連となるシュプレヒコールが「いま行動しなければ、未来はない」であるのはそのような理由からだ。
これらの人々の期待とは違い、グラスゴーでの会議は、残念な結果を残したまま幕を閉じた。合意文の草案には含まれていた石炭の「段階的廃止」は「段階的削減」に後退し、開発途上国の気候危機への対応のための基金の用意も、1年後に持ちこされた。「終末時計は午前0時まで1分しか残っていなかった」というジョンソン首相の開幕演説が台無しになるほどだ。トゥーンベリさんは、ツイッターで今回の会議を1行で総評した。「ブラ・ブラ・ブラ」。