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[社説]朝鮮半島の平和への外交努力の最中にSLBM発射した北朝鮮

登録:2021-10-20 06:09 修正:2021-10-20 07:26
18日、米国ワシントンの国務省庁舎前で、韓米の北朝鮮核問題首席代表協議を終えた外交部のノ・ギュドク朝鮮半島平和交渉本部長(左側)と米国のソン・キム北朝鮮政策特別代表が記者団の質問に答えている=ワシントン/AFP・聯合ニュース

 北朝鮮は19日午前、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)と推定されるミサイルを東海(トンヘ)上に向けて発射した。「ゲームチェンジャー」と呼ばれる戦略兵器であるSLBMを北朝鮮が発射したのは、2019年10月以来2年ぶりだ。韓国軍合同参謀本部は、北朝鮮の発射地点が「新浦(シンポ)の東の海上」だと明らかにしたが、新浦造船所は北朝鮮がSLBM搭載の可能な潜水艦を建造した場所であるため、今回は潜水艦からの新型SLBMの初の試験発射を行った可能性がある。大統領府の国家安全保障会議(NSC)常任委員会は緊急会議を開き、北朝鮮に「深い遺憾の意」を表明した。

 北朝鮮の今回の発射は、韓国政府が朝鮮半島平和プロセスを再稼動するために外交的な努力を集中している状況の最中に行われた。この日、ソウルでは韓米日の情報機関トップが会合し、朝鮮半島情勢と対北朝鮮問題などを議論した。また、この日は米国でも、韓米日の北朝鮮核問題首席代表協議が進められた。米国務省のソン・キム北朝鮮政策特別代表は、韓米の北朝鮮核問題首席代表協議を終えた後、朝鮮戦争の終戦宣言の提案について引き続き議論することを希望すると述べながら、今週末にソウルを訪問し議論を続けると明らかにした。ノ・ギュドク朝鮮半島平和交渉本部長は、「これまでの一連の協議を通じて、我々の終戦宣言構想に対する米国側の理解が深まったと思われる」と述べた。先月の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の終戦宣言提案以降、韓国政府は関係国との集中的な外交を多方面から進め、北朝鮮との対話再開のための努力を重ねてきた。

 そのような状況において、北朝鮮は脅威的な兵器とみなされているSLBMを発射し、ともすれば対話の雰囲気に水を差すのではないかと懸念せざるを得ない。北朝鮮による弾道ミサイル発射は国連安保理決議違反であるうえ、特にSLBMは、相手方に知られることなく核兵器を発射することが可能な、注意を要する戦略兵器だからだ。北朝鮮は今回の発射を通じて韓国と米国に、対話再開のためには北朝鮮に対する制裁の緩和などの具体的な提案を出すようにという圧力を込めたメッセージを発し、他方では「国家防衛力強化5カ年計画」にしたがい兵器開発を計画通り進めるという方針を再確認したものとみられる。韓国が先月、潜水艦からのSLBMの試験発射に成功したことなども考慮したはずだ。

 米中の新冷戦において、北朝鮮は自身の地政学的な地位が高まったと判断できるだろうが、先端兵器の開発だけでは安全保障と経済の問題は解決されない。これ以上緊張を高めることなく、対話の場で出てくることを繰り返し求める。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1015803.html韓国語原文入力:2021-10-20 02:32
訳M.S

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