性別適合手術の後に強制除隊させられた故ピョン・ヒス前下士が、陸軍参謀総長を相手取って起こした除隊処分取り消し請求訴訟で、7日に勝訴した。韓国軍が除隊処分の理由に挙げた心身障害の有無を判断した当時、ピョン下士の性別が女性だったため男性の身体を基準に障害があるとみなして強制的に除隊させたのは不当だという趣旨だ。極めて常識的な判決だ。ところが、この当然の判決が出るまで、あまりにも長い時間がかかった。その間にピョン前下士は自ら命を絶った。遅れてきた正義はもはや正義ではなく、人権の保障に「後で」はないということを改めて痛感させられる。
ピョン前下士は、陸軍に服務していた2019年11月に性別適合手術を受けた後、軍に復帰した。彼女は女性軍人として引き続き服務することを希望したが、陸軍は昨年1月、心身障害を理由に強制除隊させた。ピョン前下士は裁判所で進行中の性別訂正許可申立ての決定が出るまで、除隊審査を延期することを要請し、国家人権委員会も彼女の緊急救済申立てを受け入れて審査延期を勧告したが、軍はこのような要求すらも黙殺した。軍を追われた後、約1年間、彼女は天職だと思っていた軍に復帰するために苦しい戦いを強いられた。数回記者会見を開いて強制除隊の不当さを訴え、陸軍本部に人事行政審判を提起した。行政審判が却下されると、昨年8月に行政訴訟を起こした。
もっと早く過ちを正す機会があったが、軍は徹底的に背を向けた。国連人権高等弁務官事務所が昨年7月、韓国政府に対し、「強制除隊措置は性アイデンティティによる差別を禁止する国際人権法に反する」という意見を出したのに続き、国家人権委も12月、陸軍に除隊処分を取り消し、再発防止のための制度を整備するよう勧告した。しかし、軍はびくともしなかった。ピョン前下士にとってはこのような現実が高すぎる壁に感じられただろう。このような点から、彼女の死は性的マイノリティに対する差別と排除、嫌悪がもたらした「社会的他殺」とみなければならない。
強制除隊処分が行われてから624日後に勝訴判決が言い渡されたが、この知らせを待ちわびていたはずのピョン前下士は今、この世にいない。軍が昨年末に国家人権委の勧告を受け入れていたら、彼女は機甲兵に戻ることができただろう。軍当局は誰よりも軍を愛したある軍人の人生を奪ったことについて、今からでも心から反省してほしい。控訴放棄がその第一歩だ。 差別のない軍隊」を作るための制度整備にも万全を期すべきだ。