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[社説]「対話の門」強調した文大統領、「加害責任」無視した菅首相

登録:2021-08-16 05:26 修正:2021-08-16 07:27
文在寅大統領が15日、ソウル中区の文化駅ソウル284で行われた第76周年光復節慶祝式で祝辞を述べている=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が、光復節76周年の祝辞で日本に「対話の門は常に開いている」と述べた。文大統領の任期中最後となる光復節の祝辞には、日本に向けた新たな提案はなかったが、対話を通じた関係改善のメッセージは明らかに込められていた。文大統領は「韓日両国は、国交正常化以後、長らく民主主義と市場経済という共通の価値をベースに、分業と協力を通じた経済成長を共に成し遂げてきた」とし、「今後も両国が共に歩まなければならない方向」だと強調した。

 文大統領が日本に新たな提案をしなかったのは、強制動員や日本軍「慰安婦」被害の問題、輸出規制などをめぐる複雑に絡んだ韓日関係の膠着状態を任期中に解決することは事実上難しいと判断したためだとみられる。歴史問題の解決策について文大統領は、「国際社会の普遍的な価値と基準に合う行動と実践で解決していく」という原則を再確認した。文大統領は、植民地からの解放の翌日に日本と「同等で互恵的な関係に進もう」と宣言した独立運動家の安在鴻(アン・ジェホン)氏(1891~1965)の演説を引用し、「被害意識を越える真に大胆で包容的な歴史意識」を強調した。歴史問題は原則に則って解決していくが、韓日関係を改善し協力していかなければならないという意向を繰り返し表明したのだ。

 しかし、この日も日本の態度は失望させられるものだった。菅義偉首相は、終戦76年全国戦没者追悼式で、安倍晋三前首相と同様に日本の責任については全く言及しなかった。広島と長崎への原爆投下など日本の被害の事実のみを強調し、朝鮮半島の植民地支配や周辺国への侵略など加害の歴史については、歴代首相が言及してきた「深い反省」や「哀悼の意」が完全に消えた。代わりに、日本の軍事的役割の拡大のために安倍前首相が提唱した「積極的平和主義」の主張を繰り返した。さらに菅首相はこの日、太平洋戦争のA級戦犯が合祀された東京の靖国神社に玉串料を奉納し、岸信夫防衛相ら現職閣僚5人は13~15日に直接参拝をした。よりいっそう右傾化する日本の現状がそのまま示された。

 米中対立をはじめ国際秩序が急変している状況では、韓国と日本の協力はいつにもまして必要だ。しかし、日本の政治指導者が反省を拒否し続け退行的な態度に固執するのであれば、日本にはこれ以上、未来志向的な韓日関係に言及する資格はない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1007767.html韓国語原文入力:2021-08-16 02:07
訳M.S

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