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[社説]イ・ジェミョン「米占領軍」発言に対する理念攻勢はやめるべき

登録:2021-07-05 02:32 修正:2021-07-05 06:42
大統領選挙への出馬を宣言したイ・ジェミョン京畿道知事が1日午後、慶尚北道安東市陶山面ペグン路の「李陸史文学館」を訪問し、芳名録に記名している/聯合ニュース

 保守野党と保守メディアがイ・ジェミョン京畿道知事の「米占領軍」発言に対し、大々的に「理念攻勢」に乗り出した。イ知事の発言のことを「大韓民国の出発を否定する歴史認識」(ユ・スンミン前議員)、「衝撃的な歴史観」(オ・セフン・ソウル市長)と攻撃した国民の力の政治家たちに続き、4日には汎野党陣営のトップを走るユン・ソクヨル前検察総長まで加勢した。

 彼らが問題視したイ知事の発言は「大韓民国は他国の政府樹立段階とは少し違い、親日清算ができず、親日勢力が米占領軍と合作して、実はその支配体制がそのまま保たれたのではなかったか」という部分だ。この発言は今月1日にイ知事が慶尚北道安東(アンドン)にある抗日詩人、李陸史(イ・ユクサ)の記念館を訪れた際に、親日清算が不十分だった過去に対して遺憾を表明する過程でなされたものだ。発言直後は注目を集めなかったものの、翌日に朝鮮日報などの保守系メディアと国民の力が「占領軍」という表現を集中的に問題視したことから、波紋が広がった。

 ユン前総長はさらに露骨に理念論を展開している。ユン前総長はフェイスブックに「光復会長の『米軍は占領軍、ソ連軍は解放軍』という荒唐無稽な妄言を政権勢力の有力候補が受け継いでいる」とし「これについて大統領や大統領府のいかなる立場表明もないということが、さらに大きな衝撃」と記した。そして「彼らは、大韓民国が恥ずべき汚い誕生の秘密を抱えているかのように語る。大韓民国の正統性を否定する勢力だ」と述べた。論理の飛躍であるだけでなく、政権勢力全体に「国家体制の否定」というレッテルを貼ろうという低劣な意図だ。

 しかし、「占領軍」は1945年の日本の敗戦後、38度線以南に進駐したマッカーサー司令部が布告で自らを規定した「Occupying Forces」を訳したもので、歴史学界では普遍的に使われている表現だ。最近の事例を見ても、東亜日報の会長を務めた保守政治学者キム・ハクチュンが昨年、雑誌「新東亜」に韓国現代史に関する文章を寄せ、一貫して「米ソ占領軍」という表現を使っている。戦勝国である米国が敗戦国日本の支配下にあった朝鮮半島の南側を軍事的に占領したという意味だ。

 大統領選の競争に飛び込んだ者が相手候補の発言を検証して批判するのは当然だが、あくまでも事実にもとづくべきだ。国民の力とユン前総長に訴える。事実の歪曲と過激な扇動で綴られた旧時代的な理念攻勢を中止していただきたい。未来に対するビジョンと国民生活の解決策をめぐって競争するにも、大統領選挙までの残り8カ月は決して長くはない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1002070.html韓国語原文入力:2021-07-04 18:58
訳D.K

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