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[社説]「空軍副士官強制わいせつ」事件、特検・国政調査も考慮すべき

登録:2021-06-11 06:24 修正:2021-06-11 07:16
今月10日、国会法制司法委員会に出席したソ・ウク国防部長官が、L中士死亡事件に対して謝罪している=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 空軍中士(軍の階級)が強制わいせつ被害を受けた後死亡した事件と関連して、国民の力と正義党、国民の党、基本所得党が10日、国政調査要求書と特別検察官の任命法案を国会に提出した。被害者の懐柔やもみ消し、事件縮小と隠蔽など常識的に納得しがたいことが軍の捜査過程で繰り返された状況が明らかになっただけに、捜査を軍に任せるのは「猫に魚を預けるようなもの」という野党の指摘は一理ある。

 現在、この事件は国防部監査官室と検察団、調査本部が合同捜査本部を設置し、隠蔽や手抜き捜査の有無を捜査している。しかし軍特有の閉鎖性と組織保護論理からして、“身内に甘い捜査”や“トカゲのしっぽ切り”に終わる恐れがある。このような懸念を払拭するためには、軍ではなく民間に捜査を任せなければならないが、現行法上、特別検察官の任命以外には方法がない。

 しかし、政府と共に民主党は、ひとまず軍と国防部の合同捜査の結果を見守る構えだ。ソ・ウク国防部長官は9日、国会国防委員会で国政調査が必要であるという野党側の主張に対し、「同意しない」とし、「私に任せてほしい」と述べた。ソ・ビョンチョル民主党議員も10日、国会法制司法委員会で「遺族が『娘は死んでも軍人だ。特検よりは軍内部で処理したい』と語った」と伝えた。

 むろん、遺族の意思は尊重される必要がある。また、過去の経験に照らしてみると、特検や国政調査が与野党の政治攻防の場になる可能性もある。しかし、今度は状況が違う。L中士が強制わいせつの被害を受け、自ら命を絶つまでの約80日間、軍の対応は懐柔や隠蔽、ずさんな捜査の連続だった。このような状況にも関わらず、現在進められている軍の捜査を見守るという民主党の主張は、軍事司法体系の全面的な改革を力説してきたこれまでの態度とも矛盾する。公正かつ客観的な捜査を通じて真相を徹底的に究明し、責任者らを厳罰に処することこそが、故人の無念を晴らし、軍隊内での性暴力を根絶する道であることを、民主党と軍は肝に銘じるべきだ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/998929.html韓国語原文入力:2021-06-1102:39
訳H.J

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