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[社説]「半導体危機」を表に立てたサムスン電子副会長「赦免論」はうかつだ

登録:2021-04-19 20:27 修正:2021-04-20 08:46
サムスン電子のイ・ジェヨン副会長=資料写真//ハンギョレ新聞社

 サムスン電子のイ・ジェヨン副会長に対する赦免論があちこちから出ている。米中半導体覇権戦争に対応するには、イ副会長が半導体筆頭企業であるサムスンの経営一線に復帰しなければならないという主張だ。論理の妥当性はさておいて、私たちの社会が守るべき基本価値「法の前の平等」原則を傷つけるという点で憂慮せざるをえない。

 韓国経営者総協会のソン・ギョンシク会長は16日、大韓商工会議所で開かれたホン・ナムギ経済副首相と経済団体長の懇談会で「グローバル半導体競争に迅速に対応するためにはイ副会長が経営を陣頭指揮しなければならない」として「赦免論」を公式提起した。「国民の力」のクァク・サンド議員は18日、国会の対政府質問で「(赦免を)はやく検討せざるをえないのではないか」として加勢した。一部の保守マスコミも社説やコラムを通して「イ・ジェヨン赦免をためらう理由はない」と後押ししている。

 今年1月、国政壟断事件(わいろ供与および横領)の破棄差し戻し審が終わってからまだ100日にしかならない。しかも、経済界の共感形成もないままに、ソン会長が突出して赦免論を提起したことは先走り過ぎだとの指摘を免れない。ソン会長は懇談会の後「他の経済団体も(赦免建議を)支持した」と明らかにしたが、大韓商工会議所などは事実無根として否定した。これまで経済人の赦免要請は大韓商工会議所が窓口の役割をしてきた。それでも中央日報など一部のマスコミは、経済団体が赦免を共同建議したかのように報道した。その意図は何だろうか。

 イ副会長の破棄差し戻し審宣告を控えても「善処論」が提起された。だが「韓国経済危機論」「サムスン危機論」を表に立たせていつまで無理な主張を繰り返すかのかという反論が多かった。また、トップ不在中でも経営実績が良かったという実証的反論も提起された。結局、イ副会長は2年6カ月の実刑を宣告され、いわゆる「3・5法則」(トップには懲役3年、執行猶予5年を宣告する慣行)に象徴される「財閥庇護」を払拭させたという評価を受けた。

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、大統領選挙で財閥への特恵の根絶のために経済犯罪に対する赦免権の制限を公約した。イ副会長の亡父であるイ・ゴンヒ会長は、1997年(盧泰愚元大統領秘密資金事件)と2009年(サムスン特検事件)に2度の赦免を受けた。サムスンのトップに対して3度目の赦免論が提起されること自体が恥ずべきことだ。世界的な「ニューノーマル」に浮上した「ESG(環境・社会責任・支配構造)経営」を考慮する時、法を守らない企業家にはもはや居場所がないという現実を直視しなければならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/991691.html韓国語原文入力:2021-04-19 19:33
訳J.S

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