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[寄稿]米国に人権を云々する資格はあるのか

登録:2021-04-12 01:36 修正:2021-04-12 08:48
カン・ジョング|元東国大学社会学科教授

 先月30日、米国は毎年作成している200カ国あまりについての「国別人権報告書」を公開した。そこでは、北朝鮮に向けては「ひどい人権侵害に責任を取らせる」、中国に向けては「ウイグル族の集団虐殺」を犯したと主張している。すでにジョー・バイデン政権は人権、民主、法治中心の「価値同盟」によって中国を封鎖、孤立させる戦略競争を公然と表明している。

 人権は普遍的規範として尊重されなければならないが、このように人権そのものが目的ではない、覇権維持の手段へと転落させてはならない。にもかかわらず、人々は人権に関する限り、それが米国や西欧の専売特許であるかのように、彼らの主張をそのまま受け入れる傾向がある。

 人権は、人間が人間らしく尊厳を持って生きていくための諸条件が保障される権利であると定義できる。1966年に国連総会が採択した国際人権規約は、市民的権利と政治的権利を扱うB規約と、生存権(経済的、社会的、文化的権利)を扱うA規約に大別される。これの致命的な欠点は、生命権の軽視だ。

 古今東西、老若男女を問わず、この世においてかけがえのない最高のものは命だ。戦争などによる生命権の侵害から解放されることが保障される平和的生命権、感染症などから自由になることが保障される健康生命権、貧困から抜け出すことが保障される生存生命権こそ、人権の核心だ。しかし国際人権規約は、生存生命権のみをA規約で規定している。

 このような包括的人権理解をもとに、米国が世界に対して人権を云々する資格があるのか論じてみたい。

 第一に、世界の95%以上の国がA、B両規約とも批准しているが、米国が批准しているのはB規約のみであり、米国の人権基準は国際基準にはるかに及ばない。

 第二に、米国は国連人権理事会がイスラエルを非難していることを口実として、2018年にこれを脱退した。人権侵害国家を糾弾することは理事会の本分だ。これを問題視して脱退しておきながら、「あらゆる」国の人権を云々することそのものが偽善だ。

 第三に、ジミー・カーター元大統領が数年前に述べたように、米国は242年の歴史の中で戦争をしていない期間は16年程度と、歴史上最も好戦的で、平和生命権を最も侵害している国だ。加えて銃器により1年に4万人以上が死んでいるにもかかわらず、銃器規制もできないほど生命権に無感覚な国だ。

 第四に、新型コロナウイルス感染症による死者が現在57万人ほどと、健康生命権が最弱の国だ。さらに世界のワクチン生産の27%を占める一方、国外への輸出は0%だ。これに対し、中国はワクチンの33%を生産し62%を輸出している。自分の国ばかりを大切にしておきながら、どうして身の程知らずにも世界の人権を云々するのか。

 第五に、米国は生存生命権(A規約)の格差が最悪で、ホームレスが58万人ほどおり、3人の金持ちが所得下位50%よりも多くの富を所有している(民主党のバーニー・サンダース上院議員)と言われるほどだ。にもかかわらず、これは人権問題ではないという詭弁を弄している。

 第六に、警察による暴力でジョージ・フロイドが殺害された時、国連人権理事会は全会一致で米国の人種差別と警察の蛮行を糾弾した。アフリカ系米国人のコロナ感染者数は白人の3倍、死者数は2倍、警察による殺害確率は3倍だという。このように人種差別と憎悪犯罪(ヘイトクライム)は慢性疾患であるにもかかわらず、無策で一貫している。

 第七に、米国は世界最大の監視社会だ。エドワード・スノーデンによる暴露で、国家安全保障局(NSA)が世界で毎日17億件のスパイ活動をしてきたことが明らかとなった。こんなことをしていながら他国の自由市民権侵害、プライバシー侵害を云々するとは笑わせる。

 第八に、WASP(ワスプ、白人主流階級)を根幹とするファイブアイズ(米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)は、世界的な情報通信傍受共有システム「エシュロン」を構築して「血統民族主義」を復活させており、バイデン政権は対中国戦略競争にこれを積極的に活用している。このように人権を掲げつつも血統主義を蘇らせるという反人権、反時代の先頭に立っている。

 これらを見るだけでも、人権を詐称して覇権維持に躍起になっている米国は哀れであると同時に片腹痛い。米国には、崇高な人権を目的ではなく覇権延長の手段へと転落させる浅薄さと慢性疾患から抜け出すことを、強く求める。

//ハンギョレ新聞社

カン・ジョング|元東国大学社会学科教授 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/990525.html韓国語原文入力:2021-04-11 16:50
訳D.K

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