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[社説]福島の10年、「原発神話」の悲惨な教訓

登録:2021-03-11 06:37 修正:2021-03-11 08:48
今月1日、10年前に強い地震と津波でメルトダウン事故が起きた日本の福島第一原発の2号機と3号機の前を、労働者たちが歩いている=福島/ロイター・聯合ニュース

 2011年3月11日、日本の東北地方でマグニチュード9.0の大地震が発生し、1万5899人が死亡、2529人が行方不明となった。福島第一原発の原子炉4基が破損し、そのうち2基で水素爆発が起きた。燃料棒が溶けて落ちるメルトダウン(炉心溶融)が発生し、大量の放射性物質が流出して、周辺地域を覆った。

 10年が過ぎたが、歴史上最悪の原発事故による残酷な傷は癒えていない。原子炉にはまだ燃料棒が数千個残っている。メルトダウンで原子炉の中に溶けて付いた核燃料の塊と約900トンと推定される核物質の残骸を抜き取る作業は、着手もできなかった。地下水と雨水が原子炉に流れ込み、毎日140トンの汚染水が生じている。日本政府は汚染水を海に放流しようとしている。

 これまで4兆円を投入し、放射性物質を除去する除染作業を行ってきたが、様々な場所で基準値を大幅に超える放射線が検出されていると、環境団体のグリーンピースが明らかにした。一晩で生活の基盤を失った住民たちは、被ばくへの懸念で家に帰れず、終わりのみえない避難生活を送っている。日本政府は「復興」を掲げた東京五輪ですべての問題が終わったかのように示そうとするが、解決不可能な大量の課題がそのまま残っている。大地震当時、日本の首相だった菅直人氏は、最近のメディアのインタビューで「原子力はいつどこで事故を起こすかわからないが、いつかどこかで必ず事故を起きる」とし、「原発はもう負けたのだ。原発を復活させるということは不可能だ」と警告した。

 韓国社会も「原発事故は、一度起きれば解決は不可能だ」という福島の厳しい教訓を再認識しなければならない。最近の韓国では、経済論理を前面に出し政府の脱原発政策を非難する人が増えている。韓国国内の原発でも、場合によっては大事故につながりかねないヒヤリとさせられる事故が続いている現実を無視したものだ。昨年9月の台風9号(メイサーク)の影響で外部電源が切れ、稼動中だった古里(コリ)原発の4基が相次いで停止した事故などを直視しなければならない。韓国国内の24基の原発から毎年出る大量の核廃棄物を安定的に処理する解決策も十分ではない状況だ。60年後までに漸進的に「脱原発」を推進するという目標を実現する体系的な方法と代案エネルギー政策を、韓国社会が揺れることなく推進していかなければならない。「脱原発」政策を覆そうとする無謀な道に進むことはできない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/986259.html韓国語原文入力:2021-03-11 02:49
訳M.S

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