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[社説]「校内暴力の傷は一生消せない」ことを教えた「校内暴力MeToo」

登録:2021-02-24 06:02 修正:2021-02-24 06:53
ゲッティ・イメージバンク//ハンギョレ新聞社

 プロバレーボール界から始まった校内暴力の議論が、プロ野球と芸能界に波紋を広げている。有名選手や芸能人の中・高校生時代の校内暴力による被害者だと主張する投稿が、ネット上に連日上がってきている。加害者だと名指しされた人々のうちの一部は事実無根だとして、法的対応の意向を示した。大衆に映るイメージが職業活動に直結する芸能人には、校内暴力の加害者という指摘は致命的にならざるを得ない。冤罪が生じてはならない。しかし、2018年に「MeToo」運動が始まった頃のように校内暴力被害の主張が同時多発的に噴出するのは、確かに普通ではない現象だ。私たちの社会の暗い側面を振り返る契機にならなければならない。

 芸能界の校内暴力被害の告発は、以前から時々起きていた。2019年にオーディション番組の出演者と人気ロックバンドのメンバーらは、校内暴力の加害者だという暴露が出た後、舞台から降りることになった。それより前の2011年には、あるアイドルグループの男性メンバーによる校内暴力の加害事実が明らかになり、チームが解体されることまであった。企画会社や放送局は新人発掘の段階で学生時代の評判を問い合わせるなどできる限り努力しているというが、校内暴力の暴露はむしろさらに増えている。特に被害者は、自分は苦痛から脱せずにいるのに加害者がいい暮らしをしている様子をみれば、胸中の苦痛はさらに大きくならざるを得ない。

 中・高校時代の校内暴力が、単にスポーツ界や芸能界だけの問題であるはずはない。有名人についての議論が増幅されただけで、最近のSNSや大統領府の国民請願掲示板などには、一般人の加害を暴露したり被害救済を要請する内容も多く投稿されている。被害支援団体にも10~20年前の被害についての相談が現役の生徒の相談より多いほど、大幅に増えたという。被害を適時に適切な方式で解決できず、一生の傷として残っている人々がそれほど多いという意味だろう。

 チョン・セギュン首相は23日、スポーツ界における校内暴力の根絶のために、スポーツ選手の校内暴力の経歴を、代表選手選抜や大会出場資格の基準に反映させるなどの対策を検討するよう指示した。しかし、校内暴力はスポーツ界のみの問題ではないだけでなく、法や制度を通じて罰することでは限界は明らかだ。重要なのは認識の転換だ。今回の校内暴力の暴露事態が「校内暴力は分別がない時期のいたずらではなく、被害者に一生の苦しみを抱かせる恐ろしい犯罪」だという認識が根付き、若い世代に非暴力の感受性を育ませる契機になってほしい。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/984213.html韓国語原文入力:2021-02-24 02:15
訳M.S

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