セウォル号惨事の発生から16日でちょうど6年。しかし、惨劇は現在進行形だ。昨年12月と今年2月にも犠牲となった檀園高校の生徒の父親が相次いで自ら命を絶った。時の流れも、どんな哀悼や慰労も、遺族の悲しみを少しも和らげることはできなかった。今年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と国会議員選挙が重なったため、追悼ムードさえ例年とは違った。
むしろ傷はより深くなった。家族は選挙期間中、未来統合党のチャ・ミョンジン候補の暴言や、同党のキム・ジンテ候補の運動員による追悼横断幕の大量破損といった非倫理的行為を、胸を貫かれる思いで見つめなければならなかった。最近の研究によると、極右性向の政治家などがセウォル号犠牲者の遺族にヘイト発言をする背景には、「政治的狙い」が一貫して見られるという。今回の選挙期間中に「ヘイト」発言が集中したのも決して偶然と見ることはできない。しかし、小細工はそのままブーメランとして帰っていった。有権者は未来統合党の反人倫的な行動を厳しく審判した。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領はこの日、「COVID-19に対応する我々の姿勢と対策の中には、セウォル号の教訓が込められている。『社会的責任』を遺産として残してくれた子どもたちを記憶し、国民に心から感謝する」と述べた。文大統領のメッセージに共感する。コロナ危機をうまく克服している我々はみな、セウォル号の犠牲者に借りがある。しかし、我々がその借りをきちんと返していっているかは疑問だ。
6年が過ぎても、セウォル号の沈没原因は「公式」には確定できていない。救助に失敗し、超大規模の惨事へとつながった過程、朴槿恵(パク・クネ)政権による真実の隠蔽と調査妨害疑惑に対する検察の特別捜査団の捜査も遅々として進んでいない。実体的な真実に近づくためには、先入観と予断を排除し、客観的かつ科学的な事実を追わなければならない。何よりも哀悼と記憶をつないでいくとともに、韓国社会の「もう一つのセウォル号」を見つけ出さなければならない。そうしなければ、犠牲者とその家族に負った借りを返すことはできないだろう。