文在寅(ムン・ジェイン)大統領の国政支持率が、就任以来最低値の40%を記録した。韓国ギャラップが20日に発表した世論調査の結果によると、文大統領が「よくやっている」という肯定的な評価は40%、「うまくやっていない」という否定的な評価は53%だった。これは文大統領の大統領選挙での得票率41.1%を初めて下回ったもので、チョ・グク法務部長官任命問題による民意の離反が反映されたものとみられる。世論調査に一喜一憂することはないが、民意を正確に読み取り、国政引き締めの契機にすべきである。
今回の調査で目立つのは、中道層と20代を中心に文大統領の支持層の一部が離脱する兆しを見せたことだ。3、40代を除いたすべての世代で否定的評価が高く、特に20代は肯定38%、否定47%だった。チョ・グク長官任命前の7月25日の調査では20代の肯定的な評価は52%だった。地域別でも、光州・全羅(肯定69%)を除く全地域で否定的評価が高かった。このような傾向が続けば政権3年目の国政運営に相当な支障が予想されるだけに、厳重な対応が必要と思われる。
文大統領の側近で民主研究院長のヤン・ジョンチョル氏は、職員に宛てた手紙で、「重要なのは、その瞬間の世論調査や世論ではなく、事の是非に対する決断力だ」というトルーマン元大統領の言葉を引用した。原論的に正しい言葉だ。国家指導者は、その時その時の世論に一喜一憂することなく、国の将来のために必要ならば、粘り強く推し進めなければならない。しかし、その過程で国民と十分な意思疎通を行い、進む方向が間違っていないか常に点検することが肝要だ。さもないと、当初目標にしていた良い結果を得るのが難しくなる。
チョ長官の任命をめぐる論議は、検察捜査とあいまって絶えず増幅している。明確な根拠もないままマスコミの報道が行き過ぎているという指摘は一理ある。しかし、検察の捜査結果が出るまで混乱と論争の拡大は避けがたいのが現実だ。このような時であればあるほど、大統領はぶれずに進みつつも、国民の声にはいっそう耳を傾けなければならない。
北朝鮮の核問題、韓日対立、経済事情の悪化など国家的な難題が山積している。検察改革も絶体絶命の課題だ。各種の改革を推進するにあたって世論に縛られることはないが、成果を出そうと思えば広範な国民の支持を得ることが切実に求められる。特に人事問題では国民の目線に合わせることが非常に重要だ。国家的に非常に困難な状況であるだけに、文大統領には人事を含むすべての分野で国民とともに進む「コミュニケーションと知恵のリーダーシップ」を発揮することを望む。