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[寄稿]南北関係と北東アジア秩序の行方

登録:2018-10-15 06:56 修正:2018-10-15 10:26

 冷戦の終結後、北東アジアの秩序再編は北朝鮮の核問題の解決をめぐって、その序幕を開いた。その北朝鮮の核が、疾走を止めて岐路に立たされている。終着駅が見えてくるようだ。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、「今や朝鮮半島に新たな秩序が作られており、それは北東アジアの新たな秩序につながるだろう」と述べた。

 近代以降の歴史を振り返ると、北東アジアの秩序の崩壊や再編、定着は、例外なく朝鮮半島でその胎動を知らせた。そして、その過程はすべて朝鮮半島を舞台にした強大国の戦争に点綴された。朝鮮半島は北東アジアの秩序に地殻変動を起こした戦争の震源地だった。それらの戦争は、海洋勢力と大陸勢力の争いでもあり、新興大国と既成大国との戦いでもあった。それによって宿った新たな秩序の行方は勝者に託された。日清戦争がそうであり、日露戦争がそうだった。その後の北東アジア秩序は、両戦争の勝者である日本によって、行方が左右された。

 第二次世界大戦後の北東アジア秩序は、勝者である米国とソ連によって行方が左右され、その過程で朝鮮半島は二つに分断された。その後起きた朝鮮戦争は、勝者も敗者もいない結果をもたらした。その結果、東西両陣営の対決である冷戦秩序を固着させた。

 歴史的に新しい国際秩序が構築されるのは、常に大国の浮上と軌を一にしてきた。ベストファレン体制が、ウィン体制が、ヤルタ体制もまさにそうだった。東西冷戦が終わった後、世界唯一の超大国に浮上した米国は、北東アジアひいては東アジアの秩序を主導しようとした。

 北朝鮮の生存戦略は、米国の戦略と衝突しながら核の芽を膨らませ、北朝鮮の核は米国の東アジア戦略と時空間をともにしながら、北東アジアの国際政治の縮小版となった。そこには、新しい北東アジアの秩序構築に向けた北東アジアの国際関係も集約された。北朝鮮核問題の解決に向けた6カ国協議は、事実上の新秩序を作るための初の試みだった。

 北東アジア関係国はその枠組みの中で、新しい秩序で各々の勢力を確保するための綱引きを行った。その結果、9・19共同(第4回6カ国協議共同声明)と2・13合意(第4回6カ国協議共同声明の実施のための初期段階措置)が導き出された。朝鮮半島の非核化や朝米・朝日国交正常化、経済およびエネルギー協力、北東アジア平和安保体制に向けた実務グループ、朝鮮半島の恒久的平和体制に関する交渉を行うことにした。それは事実上、6カ国が共に描いた新しい北東アジア秩序の青写真だった。

 しかし、そこまでだった。6カ国協議は幕を下ろし、それはまさに中国が日本を越えて世界第2の経済大国に浮上した時点でもあった。中国の急速な浮上に伴う力関係の変化は、北東アジア秩序の構築に最も大きな要因となった。米中関係が、北東アジアの秩序構築の行方を左右する主要矛盾に浮上したのだ。6カ国が描いた北東アジア秩序の青写真が実現しなかったのは、結局6カ国の綱引きが依然として現在進行形であることを意味する。

 今年、北朝鮮核問題をめぐる朝鮮半島政局が電光石火のような変化を見せている中、北東アジアの秩序構築が再び重要な議題として浮上している。それならばもう北東アジア秩序構築の天の時、地の利、人の和が成立したのだろうか。しかし、新たな国際秩序の構築が大国によって左右されるなら、現時点で漸入佳境に突き進む中米の対立は明らかに北東アジア秩序構築に決定的な影響を与えることになるだろう。その結果、北東アジアの秩序がどのように形成されるかは誰にも分からない。明らかなことは、既存の覇権国と新興大国の戦いは戦争に帰結するという「トゥキディデスの罠」になるかもしれない大国の争いによって、北東アジアの新たな秩序は遠のくかもしれないかいということだ。歴史的パターンを乗り越える他の道はないのだろうか。

金景一・北京大教授//ハンギョレ新聞社

 朝鮮半島は北東アジアの秩序交代期の度に「鯨の戦い」の犠牲になってきた。その犠牲者の“反乱”というべきだろうか。文在寅大統領は北東アジアの秩序を主導するという「朝鮮半島運転者論」を掲げた。ある意味では、歴史的パターンを覆す発想と言えよう。少なくとも、今年の南北関係と北東アジア情勢の変化は新たなパターンの可能性を示している。

金景一・北京大学教授(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/865763.html韓国語原文入力:2018-10-14 19:19
訳H.J

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