セウォル号の惨事で亡くなった犠牲者遺族が起こした損害賠償訴訟で、国家(政府)の責任を一部認める判決が下された。惨事発生後実に4年3カ月がたってのことだ。しかし、当時の海洋警察の責任のみ認めただけで、対策のコントロールタワーが作動せずに救助をまともにできなかった政府の根本的な責任は認められなかった。事前の刑事裁判の結果をそのまま受け入れたことに従ったと見られる。政府の具体的な責任を明らかにするために苦痛の中で4年余り耐えた遺族の期待や国民の法律への感情に照らしてみると、非常に物足りないという評価を下すほかはない。進行中の第2期セウォル号特別調委の追加調査等を通じて、当時の政府の誤りを完全に明らかにしなければならない責任がそれだけいっそう大きくなった。
ソウル中央地裁法院民事30部(イ・サンヒョン裁判長)は、惨事で亡くなった壇園高校の生徒117人と一般乗客2人の遺族が国家と清海鎮海運を相手に起こした損害賠償訴訟で「清海鎮海運の役員・職員らが貨物の過剰積載と固縛不良の状態で出港させ、船長や船員たちが乗客に対する救護措置もなく退船した行為により、犠牲者を死亡に至らしめたことが認められる」と明らかにした。しかし国家に対しては「海上警察123艇が乗客に対する退船措置で生命を保護する義務を果たさなかった違法行為」とだけ責任を問うた。遺族たちが国家責任だと主張した「国家災難コントロールタワー未作動」や「救助本部の不適切な状況指揮」等については「職務上の違法行為に該当すると見られず、死亡と因果関係があると見ることもできない」として認めなかった。
これまで当時の朴槿恵(パク・クネ)大統領が遅くまで寝室に留まるなど、「7時間のミステリー」を巡って国民的非難が沸き立った現実ともかけ離れた結論だ。当日の午前9時45分頃、大統領や大統領府の誰かが現場に脱出命令を下していたら、乗船者476人が6分17秒後に全員逃げ出すことができ、セウォル号周辺に漁船50隻あまりも待機中だったので、十分に救助が可能な状況だった。にもかかわらず、報告時間の改ざんに続く大統領府の組織的隠蔽などにより、「7時間」の真実と責任は弾劾理由や刑事判決文に続き民事判決でも抜け落ちた。今回の判決が当時の大統領と大統領府コントロールタワーの責任者に免罪符を与えることに悪用されないようにするためにも、追加調査を通じて政府の責任がきちんと糾明されなければならない。