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[コラム]「外交・安保の総体的破綻」も総選挙で審判すべき

登録:2016-04-05 01:33 修正:2016-04-05 08:28

 今月13日に行われる第20代総選挙は、執権から3年が過ぎた朴槿恵(パククネ)政権に対する審判という意味をもつ。野党の分裂で焦点が多少乱れているが、民主主義が健康に発展するためには、本来の選挙の趣旨が損なわれてはならない。

 経済審判論には十分な妥当性がある。通貨危機以降、最長の景気低迷の中で、所得不平等が固着しており、家計や企業、政府の債務が急増している現実は、政策の失敗の産物だからだ。ますます大きくなる社会・政治的対立も朴大統領を中心とした政権勢力の意図的かつ偏狭な権力政治と密接にかかわっている。これに対する審判が下されなければ、現政権の残りの任期中にすべての状況がさらに悪化するだろう。少子高齢化による人口構造の変化と重なり、国全体が脱け出せない沼に陥る可能性もある。

 審判には当然、外交・安保・統一問題も含まれるべきだ。実際に朴槿恵政権は外交・安保分野で最も大きな失敗を犯した。北朝鮮の核問題は、最悪のレベルまで悪化しており、朝鮮半島・北東アジア情勢はこれまで以上に不安である。朴大統領が意欲的に掲げた3つの対外政策である朝鮮半島信頼プロセス、ユーラシアイニシアチブ、北東アジア平和協力構想は、もはやそのようなものがあったのかさえも分からなくなってしまった。

 最も深刻なのは、やはり北朝鮮関連の事案だ。朴大統領は、すべての責任を北朝鮮側に押し付けているが、以前の政権と比較しても失敗は目立つ。北朝鮮の相次ぐ核実験を防げなかったのはもちろん、公然と相手政権の崩壊と(核)戦争まで言及する状態になった。これまで政府がやってきたのは、状況悪化を既成事実としながら軍事主義を強化したことだけだ。冷戦時代同様の「共倒れの対決構造」が作られ、私たち(韓国)の社会全体がその影響を受けている。平和の基礎まで崩した政府が、平和統一を繰り返す姿は、コメディを通り越して悲劇的ですらある。

 以前の政権が長い間悩んだ末に導き出したバランス外交という枠組みを破棄し、米日同盟の下位パートナーとして編入されようとすることも重大な問題だ。昨年ガイドライン(防衛協力指針)の改正などを通じて、軍事と安全保障の一体化を強化した米国と日本は、事実上の三角同盟を韓国に公然と圧迫している。いわゆる韓米日の軍事・安全保障協力の強化は、外交・安全保障における我が国の自律性を大幅に萎縮させ、北東アジアの対立を深めざるを得ない。米国が中国を狙って押し進めているアジア再均衡政策に、政府がますます深くかかわっているのも、その一環だ。高高度防衛ミサイル(THAAD)の朝鮮半島配備まで行われれば、私たちに残された選択肢は、まさに米日同盟に確実に取り付くしかない。このような状況自体が大きな失敗だ。

キム・ジソク論説委員//ハンギョレ新聞社

 日本軍慰安婦問題をはじめとする日本の歴史認識問題が行方不明と化すのも、そのような流れの延長線上にある。米国と日本が作った枠組みに忠実にはめ込まれたため、両国が嫌う話はできなくなる構図だ。これを正しい選択だとするなら、日本に私たちの運命を預けた日帝時代の親日附逆者(反民族的親日行為者)たちの論理となんら変わりがない。朴槿恵政権はこれを「未来志向的な協力」という言葉で飾り付けているが、過去の親日附逆者たちも似たような表現を使っていた。

 朴槿恵政権の外交・安保政策は全面的に破綻した。北朝鮮の脅威というひさしで、国民の目を防いでいるだけだ。ただちに全面的にリセットしなければ、その矛盾は雪だるまのように大きくなるだろう。選挙は、これを正す良い機会だ。今、政権与党と一部のメディアは、北朝鮮の脅威だけを強調する“北風”攻勢に没頭しており、“従北”コンプレックスから抜け出せない野党は、安保問題を取り上げるのを最初から排除している。両方とも正常とは言えない。もちろん、こうしてでも、野党が選挙で勝てば、政府の外交と安保の失敗を一部でも取り戻すことができるだろう。だとしても、今の姿は正道ではない。どんな選挙でも、国民に十分な論拠を提示し、判断を求めることより良い方法はない。

キム・ジソク論説委員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-04-04 19:50

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/738192.html 訳H.J

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