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[社説]韓国だけ無視した三菱の強制労働謝罪

登録:2015-07-27 07:37 修正:2015-07-27 09:31
名古屋の三菱軍需工場に連れて来られた朝鮮女子勤労挺身隊の少女たち。写真に「朝鮮女子勤労挺身隊、海峡を渡った少女たち」 と書かれている//ハンギョレ新聞社

 日本の大企業の三菱マテリアルが第二次大戦中に同社で強制労働をした中国人に謝罪し、補償するという。同社は強制労働をした米国人戦争捕虜代表を19日に訪れて謝罪し、英国やオーストラリア、オランダなどの被害者にも今後謝ると明らかにした。しかし植民支配の時期の韓国人強制徴用被害者には「法的状況が違う」として頑なな態度を見せている。

 日本側は朝鮮人強制徴用が1938年に導入した国家総動員法によりなされた適法な行為だと主張している。植民支配をかつての現実を前提条件にしてその後の対応を一種の“国内法”として正当化しようとする論理だ。これに対して中国人の強制労働被害者は当時日本軍に捕まった戦争捕虜で、朝鮮人強制徴用と性格が違うと主張している。強盗の論理に似ている。他人の物を強奪して自分のものにし、自分のものだから勝手に使用できるというのなら、ごり押しにすぎない。強奪した過程が違法ならば支配権も違法で、その後の強制措置も当然違法と見るのが正当である。日本が植民支配で韓国に及ぼした被害が日中戦争で中国に及ぼした被害より少ないと見る根拠も全くない。

 日本側は1965年の韓日国交正常化の際に請求権の資金が交わされたことですべての請求権問題は終了したとも主張している。これに対しては請求権問題が国家間で終了したとしても韓国被害者の個人請求権は残っていると明らかにした韓国大法院(最高裁)の判決が合理的であろう。中国も1972年に日本との国交正常化の際に対日請求権を放棄したが、その後個人の次元で謝罪と補償を要求してきた。日本が“和解”を掲げて中国側の謝罪と補償要求を受け入れたのも、結局は個人次元の請求権を認めたのではないだろうか。韓国の強制徴用被害者の権利だけが無視される理由はどこにもない。

 三菱の決定は日本政府と示し合わせている印象がある。日本は過去の侵略問題をめぐって第2次世界大戦当時の中国、西欧連合国と韓国を分離して対応するという考えを表わしてきた。8月に予定されている安倍首相の談話で「植民地支配に関する謝罪と反省」という韓国の要求は無視され、中国や米国、英国を相手にした戦争謝罪に焦点を合わせる可能性もある。韓国政府は強制徴用問題の深刻性を受け入れて対応策を積極的に考えるべきである。請求権協定のために政府ができることは限られるだろうが、現在のように手をこまねいていては困る。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015/07/26 20:53

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/701875.html 訳T.W

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