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[読者投稿] 非正常な国家情報院に非正常なマスコミ

登録:2015-06-02 16:09 修正:2015-06-03 08:02
国家情報院に対する国会国政監査が行われた昨年11月4日、ソウル内谷洞の国家情報院庁舎前で職員が国会議員の到着を待っている=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 ハンギョレ創刊以来の読者としてハンギョレを大事にしたい思いから、一言申し上げたい。 北朝鮮関連報道ではハンギョレまでどうしてこうなのか、果して信頼度1位の新聞だと自負することができるのか?

 5月13日に国家情報院(国情院)が北朝鮮人民武力部長処刑説を発表したあと、14日付ハンギョレは1面、5面の4つの記事と社説にまで「恐怖政治」「血の粛清」などの表現をタイトルに入れて大々的に報道した。中には記事の終わりの部分で「処刑があったかどうかをもう少し見守る必要があるという慎重論もある」として専門家の意見を紹介したものもあるが、全体的な論調は圧倒的に既成事実化の印象が強かった。

 その後15日付で「(国情院が) 未確認情報公開で自ら信頼に傷をつけるという記事が載り、18日付には「シンクタンクの視点」というコラムに「ヒョン・ヨンチョル関連諜報と情報商人国情院」というハンギョレ平和研究所長の文が掲載され、19日付では社説も「国情院、“諜報”という言葉で“賭博”をしてもいいのか」というタイトルで同じような内容を書いた。

 三つとも国情院が事実確認のされていない諜報水準の内容を持ってマスコミプレイをしたと批判したが、諜報水準の内容をそのまま書き取ったマスコミとしての自らに対する言及は全くない。

 18日付の文はこのように言う。「諜報を利用した商売は、いつかは国情院の信頼度をも大きく傷つけるだろう。国情院も認めたように、ヒョン・ヨンチョル処刑説は“情報”にもならない“諜報”だ。諜報を利用した商売に接した国民は、国情院の意図に大きな疑問を持つようになる」。 国民は国情院のそのような言動に直接接したのではなく、マスコミを通して接したのだ。 ハンギョレ読者はハンギョレ報道を通して接したわけだ。慎重な検証なしにそのまま書き取って読者に提供した責任問題が、すっぽり抜け落ちているのが理解できなかった。

 また 「もしもヒョン・ヨンチョル処刑説が誤った諜報だったとしたら? 国情院の被る被害は途方もない。それに加えて我が国全体が世界から受ける不信もすごいものだろう。南北関係の犠牲はもう言うまでもない」と書いた。それはその通りだが、世界から韓国のマスコミが、特に進歩的言論と自負するハンギョレ自身が、途方もない不信を買うようになるという指摘はない。

 19日付社説は次のように書く。「果して国家最高の情報機関がこんな危うい“賭博”をやってもいいのか、深刻な疑問を感じる。その上、国情院の発表を特筆大書するのが我が国の多くのマスコミの風土であることは、国情院が誰よりもよく知っている。諜報という一言が軽率さに対する兔罪符には決してなり得ないのである」

 今回の報道では、発表をそのまま書き取る“多くのマスコミ”の中にハンギョレも含まれていると考えるが、どうしてこう他人事のように書くことができるのか? 国情院を「諜報水準の内容を持って …」と堂々と批判する一方、諜報水準だと聞きながらも、まともな検証努力をしなかったマスコミに対しては、一言半句もないのだ。 国情院のマスコミプレイに乗せられたマスコミに対する指摘、特に、社説はもちろん「シンクタンクの視点」もハンギョレの「社内コラム」である以上、ハンギョレ自らに対して糾すべきは糾した上で論を進めるべきではないだろうか。

 事実に基づき冷静に分析できる専門家たちが、国内国外には充分いると思う。ハンギョレはそのような専門家たちへの諮問を通して国情院発表の内容を検証するシステムを設けるなど、読者の信頼を守って行けるようにしていただきたい。

イム・ソウォン ソウル城東区聖水洞1街(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/because/693070.html 韓国語原文入力:2015-05-27 20:56
訳A.K(1649字)

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