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[現場から] 5・16は朴正煕の軍事クーデターか分からないという警察庁長官候補者

登録:2014-08-20 22:46 修正:2014-09-03 15:37

 「『5・16』は軍事クーデターだという学説と、当時の政治・経済的状況に照らして評価すべきだという主張が対立していると承知しています。 双方の見解は共にそれなりに説得力があると考えます」

21日、人事聴聞会に出席したカン・シンミョン警察庁長官候補者が国会安全行政委員会に事前に提出した書面答弁書の内容だ。 カン候補者は、法定記念日である「済州(チェジュ)4・3抗争」や「5・18光州(クァンジュ)民主化運動」に対しても、「深く勉強していない状態なので、私見を明らかにすることは適切でないと考える」と述べた。

すでに歴史的・司法的評価が下された朴正煕(パク・チョンヒ)政権時期の維新と緊急措置に対しては「深く勉強していないため答弁が難しい」としつつ、「功罪に対する歴史的評価が分かれている」とあえて‘但し書き’を付けた。

 わずか数行の答弁もできないほど彼は無知ではないだろう。カン候補者ばかりでない。 朴槿恵(パク・クネ)政権で高位公職になる人々から「5・16は軍事クーデター」という明快な答弁を聞くことはかなり難しい。 警察を管轄するチョン・ジョンソプ安全行政部長官も、自分の著書では「5・16はクーデター」と書いておきながら、実際の人事聴聞会では‘クーデター’という単語を口にすることを敬遠した。 高位公職に相応しい合理的歴史認識を備えているかを確認するための質問だが、大統領府と与党が過敏な反応を示せば公職候補者もその顔色を伺わざるをえないわけだ。

ソン・ホギュン記者

 歴史を「深く勉強」していないため答弁が難しいなら、カン候補者には先輩警察官の生涯を十分に噛みしめてみることを望む。 1980年の5・18光州民主化運動当時、全南警局長(現、全羅南道(チョルラナムド)警察庁長官)だったアン・ビョンハは新軍部の発砲命令を拒否し、逆に不祥事を憂慮して警察が所持していた銃器を回収した。 「警察が生命と財産を保護すべき市民を相手に銃を取れるか」という理由からだ。 結局、職務解任された彼は軍の保安司令部に連行され約10日間にわたり拷問され、その後は生活苦と拷問後遺症で苦痛の中で1988年に生涯を閉じた。 彼が殉職警察官と認められたのは2006年のことだ。

 ‘アン・ビョンハの道’を歩けとは言わない。 人事聴聞会くらいは所信をもって答えることを期待するだけだ。

ソン・ホギュン記者 uknow@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/652062.html 韓国語原文入力:2014/08/20 21:21
訳J.S(1140字)

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