正修奨学会(理事長 チェ・フィリプ)が奨学会所有の文化放送持分30%と釜山日報持分100%を全量売却する作業を秘密裏に進めてきたことが明らかになった。 市価が6000億ウォン程度になる文化放送持分は文化放送が自ら構想している来年上半期上場に合わせて国民に売り、釜山日報持分は釜山・慶南(キョンナム)地域の企業家に売却するというのがその骨格だ。 釜山日報持分の場合、売却作業が大きく進展しMOU(了解覚書)までが締結されている。
チェ・フィリプ理事長は数日前に文化放送とこのような計画で合意し、来る19日に具体的内容を発表する予定だという。 だが、彼の持分売却構想は進行方式と対象、使途などで最小限の正当性さえ備えておらず全く理に適わない。
最初に、現在の正修奨学会は保有持分を売却する資格がない。 正修奨学会は故朴正煕前大統領が5・16クーデターを通じて権力を掌握した後、釜山の企業家である故キム・ジテ氏の釜日奨学会を強制的に献納させて作られたということは周知の事実だ。 去る2月ソウル中央地裁が 「故キム・ジテ氏が国家の強圧によって株式を贈与した事実が認められ取り消すことはできるが、(取り消す)時間が過ぎた」という趣旨の判決を下したのもこのような理由からだ。 正修奨学会の財産はこのように‘贓物’であることが判明したが、贓物を受け継ぎ後代が自分勝手に処分するのはそれこそ話にならない所業だ。
第二に、文化放送持分30%は正修奨学会が自分勝手に売却できる性格のものではない。 文化放送は1987年民主化大闘争以後、与野党合意で放送文化振興会が大株主(持分70%所有)の公営放送に変貌して今に至っている。 このような文化放送の持分30%が株式市場で売却されるということは民営化の始まりに他ならないが、文化放送民営化問題に対してはいかなる政治・社会的合意もまだ導出されていない。 キム・ジェチョル文化放送社長が自分勝手に決めてはならないことだ。 合わせて釜山日報株式もやはり公共性とは距離が遠い企業に売却するという点で言論民主化という時代的要求に逆行するものだ。
第三に、保有持分を売ってできた財源で釜山・慶南地域の福祉事業に使うという計画は大統領選挙を狙った‘朴槿恵浮き彫り’意図が大きい。 チェ理事長は先立って去る9月<ハンギョレ>とのインタビューで「10月末ぐらいには決勝の日が近づくが、私も一役果たすだろう」と明らかにした経緯があるが、今回の構想はその‘一役’の実体が何かよく見せる。 正修奨学会が保有財産を動員して大統領選挙の激戦地である釜山・慶南地域で朴候補を間接支援しようとすることに他ならない。 朴候補は「正修奨学会と関連がない」と主張しているが、実際には切っても切れない関係であることを示唆する内容でもある。 文化放送側がチェ理事長に19日の記者会見と関連して 「政治的インパクトが大きい」と話したのも大統領選挙との関連性を裏付けている。
繰り返し強調するが、正修奨学会が推進中の所有株式売却は泥棒の後えいが贓物を自分勝手に処分しようとする行為に該当する。 正修奨学会は直ちに株式売却計画を撤回すべきだ。 同時に今回のことを契機に正修奨学会をまともに社会に還元する方案に関する深い議論を進めることが正しい。 そしてこの議論のために誰より先に解決法を出さなければならない人は、まさに朴候補だ。 朴候補が口を閉ざし続けるならば、正修奨学会に対する‘実質的支配’論難は今後一層大きくならざるを得ない。
原文入力:2012/10/14 13:47(1580字)