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[社説]韓-中FTAの交渉は次期政府ですべき

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/530920.html原文入力:2012/05/02 19:15(1318字)
我が国と中国が昨日、自由貿易協定(FTA)締結のための交渉開始を公式宣言した。これにより韓国は世界3大経済圏である米国とヨーロッパ連合に続き中国とのFTA締結を本格的に推進することになった。だが、期待より不安が先んじるのが事実だ。韓-中FTAは米国やヨーロッパ連合とのFTAより国内の産業に及ぼす影響がはるかに大きいだけでなく、時期も適切に思えないためだ。  李明博政府の任期が1年足らずの時点に交渉開始を宣言したことからしてそうだ。政府は両国が7年間という十分な準備期間を経たと明かした。しかし李政権で締結された韓-米、韓-ヨーロッパ連合のFTAの効果に対する検証がまだなされていない状態だ。ヨーロッパ連合とはFTA締結の後、貿易収支の黒字幅が減ったし、米国とのFTAも発効されて一ヶ月が過ぎたものの輸出増加傾向はかえって鈍化した。巨大経済圏とのFTA締結に対する根本的な再考が必要な状況だ。それでも急いで交渉開始を宣言したことは残念だ。
 さらに韓-中FTAが締結されれば国内農業は壊滅状態に陥ることになることが明らかだ。国産穀物類や果物・野菜類の値段が中国より5~7倍も高い状態で中国産が大量輸入された場合、国内の農業基盤は瓦解するしかない。いくら敏感品目に指定して関税縮小の期間延長などの保護装置を設けるとしても農業の破綻は時間の問題にすぎなくなる。軽易な被害対策をいくつか用意して農家をなだめて、解決することではない。それにもかかわらず政府が農民たちと十分な話し会いなしに韓-中FTAの締結を押しつけようとしてはならない。
 交渉開始を宣言したとしても、具体的な交渉は時間をかけて慎重に進めなければならないのはこういうわけだ。特にこの間に、協定締結で直接被害を受けることになる国内の業界の意見を十分に取りまとめなければならない。韓-米、韓-ヨーロッパ連合のFTAの締結過程で国内の業界の実態と要求がきちんと反映されたとは見られない。国益という観点から国内業界の利益を最大限貫けるように徹底して綿密に事前の準備をしなければならない。
 それならば、実質的な交渉は次の政府でするのがいいと思える。任期が1年も残っていない李明博政府で交渉が始まった場合、来年になるときに政府の政策と引継ぎに問題が生じ得る。また現政府はあらゆる不正事件にまみれて国民の信望を失って久しい。国民の信頼を失った政府が進める交渉は後押しする力にも欠けるだろう。
原文: 訳T.W