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[社説]離於島を紛争地域にするのに熱心な人たち

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/523110.html原文入力:2012/03/12 18:48(1388字)
 離於島(イオド)の管轄権問題が熱くなっている。事柄上、紛争当事国間が互いに譲れない領土問題なのに加え、4・11総選挙を控えて済州(チェジュ)江汀(カンジョン)に建設中の海軍基地に対する賛否論議までからんでいるためだ。  韓国の最南端の馬羅島(マラド)から西南に149km離れた地点にある暗礁である離於島の管轄権が韓国と中国の間で本格的に問題になったのは国連海洋法が発効した1994年からだ。海洋法は海岸線から200海里(約370km)までを排他的経済水域(EEZ)と規定しているが、離於島は両国の排他的経済水域の重なる部分に含まれている。このような場合、両側が合意して境界線を定めるべきなのに、まだ両国間に合意がなされなくて論議が続いているのが離於島問題の本質だ。
 3日に‘離於島が中国管轄海域の一部’と主張したリュツグイ中国国家海洋局長の発言も基本的にこのような流れの延長線上にある。ただし彼が "国家海洋局は中国管轄海域に対して定期的な権益保護次元の巡回査察と法執行をする制度を整えた。定期巡回査察対象の海域には離於島が含まれる" と話した部分は注目すべき大きな問題だ。中国が既存のたてまえ上の管轄権の主張を越えて、これまでより管轄権を強化するための次元で追加的な法制度の措置を取るのであれば断固たる対応が必要だ。外交当局は中国の正確な意図を把握した後、これに見合う厳正な対応をしなければならないだろう。
 一般的に領土問題は法律の次元を離れて該当国の国民の感情と歴史、文化、自尊心が関係する問題であるから敏感なことこの上ない。甚大な問題にもなりかねない事案なので厳重かつ冷静に対応しなければならない。特に世論形成に大きい影響力があるマスコミの責任は誰よりも重大だ。
 このような点からいわゆる朝鮮・中央・東亜と呼ばれる保守マスコミの離於島報道の態度は無責任と扇動が極まりないといわざるを得ない。中国の離於島の管轄権主張を領土的な野心として、これを抑えるには海軍力が必要だが、左派が済州江汀海軍基地に反対するのを見れば離於島を中国に捧げようとするものではないか、という兇暴な論理を展開している。あたかも日本の江戸幕府時代に禁止されたキリスト教信者を見分けるためにキリストが描かれた絵を踏んで通らせる‘フミエ’作戦を見るようだ。
 江汀海軍基地建設と離於島は絶対に一対一で合い照らす関係ではない。それを明らかに分かりながらも離於島を前面に出して基地の賛否に圧力を加える態度は愛国心を利用した政治攻勢であり脅迫だ。
原文: 訳T.W