中国は戦勝節80周年祝賀式典と軍事パレードで、外交的な自信と軍事的な抑制力を世界にアピールした。習近平国家主席の率いる中国が米国主導の秩序に対抗する代案勢力としての地位を固めつつあるという印象を残し、同時に米国と西側の懸念をふくらませ、激しい後遺症にさらされることになるとも予測しうる。
ブルームバーグ通信は4日、前日に北京の天安門広場一帯で開催された「中国人民抗日戦争および反ファシズム戦争勝利」(戦勝節)80周年祝賀式典と軍事パレードを通じて、中国は「米国主導の秩序に対抗する歴史的団結を誇示した」と評した。3日に朝中ロの指導者が天安門の城楼に66年ぶりに並んで登場したことは、鮮明な政治的メッセージを発した。朝ロの指導者を隣に立たせて中央に立った中国の習近平国家主席は、人類が「平和と戦争という選択の岐路に立っている」として、不確実性と不安定さが強まっている世界において中国が新たな求心点になるとの意志を表明した。トランプ大統領の再登場後さらに進んだ米国の自国第一主義を意図したものだ。英紙ガーディアンは、トランプの再登場が朝中ロ3カ国協力の土台の一つだと指摘しつつ、習主席の右にロシアのプーチン大統領が、左に北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が立ったことは「世界の権力バランスの再編を示唆する演出されたイメージ」だとの解釈を示した。
軍事パレードも、米国の軍事的圧力に対抗するという中国の意志と力をはっきりと示した。軍事パレードでは、米国を含む全地球を射程圏とする性能の向上した新たな大陸間弾道ミサイル(ICBM)、人工知能(AI)、ロボット、無人機を用いた最新鋭の兵器が公開された。ワシントン・ポストは「軍事パレードは、米国に強力な軍事的敵対者として中国を認識させたいという習近平の強い願いを示している」と述べた。中国人民大学国際関係学院の王義ウェイ(ワン・イーウェイ、ウェイは木偏に危)教授はワシントン・ポストに、「中国は軍事パレードを通じて『中国に対する軍事的強圧は不可能だから試みもするな』というメッセージを伝えようとしている」と話した。
このような自信の表出は、米国と西側の警戒心をいっそう強めるうえ、権威主義国家の指導者の結集は「正義の行為者」を自任する中国の評判を落とすことになる、とも分析されている。米国を含む西側による中国脅威論にとって、今回の軍事パレードはよい根拠になり得る。またこれは、中国に対する経済・貿易制裁やデカップリング(サプライチェーン分離)の加速、抑止態勢の強化などにつながりうる。欧州議会の対中国代表団の団長を務めるエンギン・エログル議員はこの日、Xに「中国の2つの同盟国(朝ロ)は第2次世界大戦後に欧州の領土で起きた最も大きな戦争に直接的な責任があるにもかかわらず、中国の指導者は『平和と戦争のうち一つを選択しなければならない』と言っている」と習近平主席を批判した。