イラン核施設に対する米国の打撃で、米国内外で米国人を対象にしたテロの脅威が高まっている。同時多発テロを経験したニューヨークが最高警戒態勢に入るなど「同時多発テロの悪夢」が再び米国に暗い影を落としている。
米国土安全保障省は22日(現地時間)、声明を発表し「現在進んでいるイランとの軋轢が米国をめぐる脅威を増加させた」として警報を発令した。同省はまず、親イランまたはイラン政府と連携したハッカーたちが米国のネットワークへの低強度サイバー攻撃を行う恐れがあると警告した。また、イランは2020年に米国の空爆によって死亡したガセム・ソレイマニ革命防衛隊司令官の死に対する責任を追及し、米国政府関係者を対象にした報復を長い間目指してきたと警告した。
また、米国内でテロが起きる可能性があるとも警告した。イラン指導層の「米国内の対象を目標に報復せよ」という宗教的メッセージに、米国内に存在する過激主義者たちが独自行動を敢行する危険性もあるということだ。13日(現地時間)にイランとイスラエルの対立が始まって以来、ハマスとレバノンのヒズボラ、フーシ派、パレスチナ人民解放戦線などが中東にある米国の資産と国民に対する報復を宣言したという点も強調した。
こうした中、2001年に同時多発テロを経験したニューヨークは「最高警戒態勢」に入った。ニューヨーク州は高官級公共安全会議を招集し、州警察と対テロ・サイバーセキュリティ専門家らと対策を議論した。 ニューヨーク州のキャシー・ホウカル州知事は22日に声明を出し、「すべての州政府機関と公共サービス事業体、その他の核心インフラ施設は高度の警戒状態を維持している」とし、「交通庁と港湾庁は警察と協力して対テロ保護措置を稼動した」と述べた。さらに「現在としては具体的であったり信頼できる脅威の情報はない」としながらも、「ニューヨークは世界的に象徴的な意味を持っているため、私たちは状況を非常に深刻に受け止めている」と明らかにした。
中東地域に滞在中の米国人たちにも次々と避難と備えの指示が出されている。 AP通信とワシントン・ポストの報道によると、米国務省はレバノンのベイルート駐在米国大使館の非必須スタッフと家族にレバノンを離れるよう指示した。
サウジアラビアの米国公館では、地域内の軍事施設に対する必須でない訪問を制限せよという勧告が下された。トルコでも米国人に対し「目立たないように行動し、米国領事館やNATO空軍基地への個人的な移動を避けるべき」という指示が下された。
イラクでも、バグダッドの米国大使館とエルビルの米国領事館内の非必須スタッフの避難が続いている。イスラエルとイランに滞在する米国人たちも、米政府の支援を受けて続々と出国している。彼らの避難は、イスラエルのイラン空爆直前から始まった。
米政府は、彼らが欧州などに避難できるよう、航空便を倍に増やした。米国市民1千人余りを乗せたクルーズ船もイスラエルを離れ、キプロスに到着した。
AP通信は21日基準でイスラエルに滞在する米国人7900人余りが出国支援を問い合わせ、イランでは米国人1千人余りが出国支援を受けようとしていると国務省資料を引用して報じた。イスラエルには米国国籍者が70万人ほど滞在しているという。そのうちかなりが二重国籍者であり、イラン内の米国人は数千人規模だ。