ドナルド・トランプ米大統領は4日(現地時間)、「ガザ地区を米国が長期間所有し、高級休養地として開発する」と述べた。必要なら軍隊を動員するとしたうえ、パレスチナ住民たちはガザ地区でない他の地域に事実上永久移住すべきだとも語った。国際法が禁じる領土侵略や強制移住を公式化する発言で、相当な物議を醸すものとみられる。実現可能性のない「空想に近い発言」という批判の声もあがっている。
トランプ大統領は同日、ホワイトハウスでイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と会談した後、共同記者会見を開き「米国がガザ地区を掌握し、現場に残っている危険な不発弾とその他の武器を除去し、破壊された建物を撤去した後、経済開発を通じて働き口と住宅を供給する」とし、「長期的な所有権も考えている」と述べた。
米軍を派遣する意向があるかについても「必要ならばそうする」とし、「私たちはその地域を買収し開発する。ガザを中東の『リビエラ』(地中海沿岸の高級休養地)にすることもできる」と語った。
■「二国家解決策」という米国の従来の立場と相反する
トランプ大統領はパレスチナ人の永久移住を主張した。「パレスチナ人がガザに帰りたがる唯一の理由は代案がないため」としたうえで、「適切な土地を探し、十分な資金で素敵な住居地を建設すれば(移住するだろう)。爆撃されずに幸せに暮らせる美しい地域を探すのが解決策」だと主張した。
開発が終わった後、パレスチナ人の帰還を保障するかどうかについても、トランプ大統領は「(開発が終わったガザ地区には)パレスチナ人を含め全世界の人々が暮らすことになるだろう。国際的な場所になるだろう」と答え、帰還の保障を事実上否定した。
トランプ大統領の発言どおり実行されれば、領土侵略と強制移住に該当し、国際刑事裁判所(ICC)が規定した「侵略犯罪」および「人道に対する犯罪」が成立する可能性が高い。
この日の発言は、イスラエルとパレスチナが主権国家として共存するという「二国家解決策」を支持してきた米国の従来の立場とも相反する。トランプ大統領は「二国家解決策を廃棄するのか」という質問に対し、「二国家解決策などとは関係ない。これまで一度も手にしたことのない人生のチャンスを彼らに与えたいだけだ」と答えた。
このような構想の実現に協力が欠かせない周辺国の反応は冷ややかだ。トランプ大統領は「中東の他の国の首脳たちとも話し合っており、彼らもこの構想を気に入っていた」と主張した。しかし、トランプ大統領からガザ住民の受け入れを求められたエジプトとヨルダンは、これを強く拒否している。ところが、トランプ大統領はこの日も「結局、両国を含む他の国々も同意することになるだろう」と繰り返し主張した。
ニューヨーク・タイムズ紙は、西側の大国が地域住民の自治権を考慮せず自分たちだけで地図を描き、住民たちを移住させた時代が思い出されるとし、「地政学的パンドラの箱を事実上再び開いた」と評した。ワシントン・ポスト紙も、パレスチナ住民とアラブ諸国の猛烈な反応を呼び起こし、米国を中東地域の紛争にさらに深く引き入れる案だと報じた。