ロシアが今度はウクライナのドネツクで最大の炭鉱都市ブフレダールを占領した。
ウクライナ軍は2日(現地時間)、数日間続いたロシア軍の攻撃に耐えきれず、ブフレダールから撤退したと述べたと外国メディアが報じた。
ウクライナ軍当局者は「ロシア軍が側面から予備兵力を投入して圧力をかけたため、味方の兵力が包囲される危険に直面した」として、「撤退の決定は、兵力と装備を保全するための措置」だと述べた。
オンライン上に公開された動画には、廃虚と化したブフレダール市庁舎などの建物の上にロシア国旗が掲げられている様子が映し出されている。
ウクライナ軍は東部戦線で相次いで敗退して撤退し、最終的には当初ウクライナの親ロシア派勢力が分離独立を主張したドネツク地域のすべてがロシア軍の手中に入るのではないかという見方が出ている。
東部戦線に集中するロシア軍の圧力を分散するために、ウクライナは8月、電撃的にロシアのクルスク地域に侵攻する「奇襲作戦」まで用いたが、大きな効果を出せずにいる。
戦前には総人口が1万4000人に達していたブフレダールは、近くの石炭埋蔵量が豊富な炭鉱都市だ。ウクライナの南部戦線と東部戦線を結ぶ地点であり、ロシア軍の次の侵攻目標である交通の要衝ポクロウシクからわずか50キロメートルの位置にある。
ウクライナ軍はこのような地理的特性を活用し、戦争初期からここを拠点に、ザポリージャとドネツクを往復するロシア軍をけん制してきた。
ロシアの有名軍事ブロガーは、ブフレダールがザポリージャとドネツクの戦線の中間にあり、絶えず軍事的な脅威のある場所だったとして、今回の占領は「戦略的勝利とまではいかないが、戦術的勝利」だと評価した。
ロシアはここ数日間、ブフレダールを占領するために絨毯(じゅうたん)爆撃を行ったほどだ。ウクライナ軍はブフレダールに強力な防衛陣地を構築し、過去2年半にわたりロシア軍の進撃を許さなかったが、最近のロシア軍の猛攻撃を前に適切な対応手段を見出せず、ついに白旗を挙げざるをえなくなった。
ウクライナ軍の今回の撤退は、戦線でウクライナ軍の劣勢がいかに深刻なのかをよく示す、さらなる事例だとする指摘が出ている。ウクライナ軍は今年に入り、兵力の規模や兵器の質と量で圧倒的なロシア軍を阻止するうえで困難に直面していた。
ウクライナは状況を好転させるために、米国や欧州などに軍事支援を訴えているが、期待通りの反応は得られていない。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は先月、国連総会への出席のために米国を訪問し、「勝利のためにはさらなる支援が必要だ」と訴えた。
しかし、米国のジョー・バイデン政権は「米国製の長距離ミサイルでロシア領土を攻撃できるようにしてほしい」という要請も受け入れなかった。